ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- 第16策 童子を打ち負かした大天才 ( No.38 )
- 日時: 2010/08/11 11:35
- 名前: 絶櫨 ◆kaIJiHXrg2 (ID: aeLeTDX9)
カタタタタタタ……
水鉄砲合戦の休憩の合間に部長がパソコンのキーボードをリズミカルに叩く音が皆の疲れを増幅させる。
部長のパソコン、キーボードが欠陥品なのだが、叩きやすい為にそのまま使っていて、慣れていないと嫌な音が叩くたびに出るのだ。
「おろ?ちと童子、手ぇ貸してくれへん?」
どうやら、ジョーカーのデータベースをハッキング中、見つかったのだろう。
恐らく敵の使っているのは一般的にも軍事的にも使われているセキュリティ機能を持ったEJISONだろうし、2分あれば余裕でいけるな。
そんな事を考え、童子は部長のパソコンを見て驚いた。
校内の操作権限全てが何者かに乗っ取られていたのだ。
すかさず、その何者かに簡単なウィルスを送り込み様子を見ると、効いていない……?
ばかな、パソコン使っている以上効くはずなのに……。
今度はウィルスの種類を変えてみる。
より破壊的で、より強力なものだが、それでも効果は無いと見える。
ならば奥の手……!
「部長、完全に校内の操作権乗っ取られててウィルス効かないのでこのパソコンに取り込んでしまって良いですか?」
部長がもの凄く考え込み、答えを出す。
「仕方ないな、委員会並みの特権消されちゃかなわん、やれ」
"やれ"その言葉の前に童子は行動を起していた。
ウィルスが効かないと言う事は、消されているか取り込まれているから。
つまり、このパソコン自体をウィルスとして送り込み、相手が駆逐しようとしてきた所を……捕らえればいいのだ。
「取れましたよ」
その言葉を聴き部長が画面を覗き込む。
今のパソコンのセキュリティは凄まじく、暗号化された数字3126桁以上でパスワードが個々に組まれるのだが、その暗号化した数字から計算して出せる人間は少ない。
童子の知っている知識ではパスワードはその桁の素数でもあるので、その桁の素数を打ち込めばいいのだが、確実性重視で計算するしかないのだ。
「地下持ってって分析掛けて見ようや。水鉄砲は個々で終わりや」
その言葉と同時に部長が地面深く突き刺さった棒を思いっきり蹴り込むと、そこだけ地盤が割れ、地下へとつながった。
「グラウンドの下は全て地下や、こないすれば早くてええやろ?」
その言葉と同時に全員の足元も崩れ、地下へと落とされた。
例によって大神1人だけは何とか崩れる瞬間に安全地帯へと飛び移ったため落ちずにすんだ。
地下へ落ちた先は……UFOの上?
「そう、UFOや。最近開発に成功した。ケド今はそれは関係ない、更に地下に進むで」
地下最下層は120mにまで伸び、殆ど冷凍庫以下の温度なのだが、2万台近い数のスーパーコンピューターの所為で十分熱い。
早速部長のパソコンと接続させ、分析開始。
恐らくウィルスの類だが、桁外れに複雑で分析は困難、童子がいなければこれだけのスーパーコンピューターを連ねようが解析は出来なかったほどだろうと思われるとんでもない量の暗号文が飛び出してきた。
それを見た童子の顔は汗だらけになり、とんでもなく驚いたような顔をしている。
「……部長、流石にお手上げです。これが何なのかすら分かりません。ボクでは専門知識が足りない、これを造った人間と同じだけの知識さえあれば……」
「まさか、童子に勝つ頭脳の奴がこの世に居るとは思いもしんかった……」
生まれて初めて、難題にぶつかった童子はの顔は完全に真っ青になっている。
その後、そのデータはインターネットとの接続を完全に停止させた1台のコンピューターに封じ込めたが、その後童子の口からは数字の呂律しか出なくなってしまった。