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第22策  反AI破壊AI【R-5000】 ( No.44 )
日時: 2010/08/12 15:42
名前: 絶櫨 ◆kaIJiHXrg2 (ID: aeLeTDX9)

童子は階段を駆け上り、3階部室の手前の龍のオブジェの目を探り、スイッチを押すとオブジェが動ききる前に鉄の馬鹿重い扉を開き中へと駆け込んだ。

「おお、童子!丁度ええ所に来たな、アレの正体が分かったで、ただの好奇心の塊や。ただ単にデータを喰らって太るだけや。と言うわけで、手伝ってくれへん?R-5000、反AI破壊AIの開発をな」

先客である部長のいじっていたパソコンを見ると基本的な入力は済み、細かな面倒な部分のみが残されていた。
何でこの部長は……楽な所だけやるんだよ、お前1人で十分造れるだろうが!

「具体的にどの辺をどうしたいのですか?」

その問いに対する答えは完全にふざけている。

「ボンキュッボンのオネーちゃんのアバターをつけて、メイド言葉で喋るやつを作ってくれへんか?」

……一瞬の沈黙が流れる。

「断るッ!」

童子は猛反対する。
もちろん、AI破壊用のAIがメイド言葉を喋っても、ボンキュッボンのアバターでもその機能は役に立たないからだ。
どうせつけるならもう少し実用的なの付けろよ……?

「マジか」

よく見ると、プログラムの配列に既にメイド口調で喋るようなプログラムが混ざっている。
さすが部長、部員を呆れさせる能力も天才的だ。

「メイド口調はインプット出来たから、ボクにボンキュッボンのアバターを造れと言っているのですか?」

部長の目が無駄に鋭く光る。

「その通りや!」

「ダァホぅッ!そんなモン造るか〜ッ!」

だが、部長の構想は悪くない。
反AI破壊AIがあれば童子のサポートも効くだろうし、何より童子のこなしていたデータを与えれば同じ様に自衛機能がつくからだ。

「ボクが全部1から造るのでいいのであれば造りますが……どうします?」

「ええケドただし、ボンキュッ——…」

「造りませんよ」

「ええ〜……。ギブミーボイン」

「……何か言いました?」

「いいえ、スンマセン、何も言ってません。調子こいてスンマセン」

その数時間後、童子の操作するパソコン数千台余りを犠牲にし、容量の大きすぎるそれは完成した。
恐らく、人類始まって以来の高等データの塊だろう。