ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

第23策  試運転 ( No.45 )
日時: 2010/08/12 16:37
名前: 絶櫨 ◆kaIJiHXrg2 (ID: aeLeTDX9)

「……何か御用ですか? 私は何をすればよろしいのですか? 私の存在意義は何なのですか?」

目覚めたばかりのAIが童子を質問攻めにする。
どうも、入力ミスで少し考えていた理想系とは違う物ができたが、それが見えない程上出来だった。

「君は……う〜ん……製造コードR-5000だよ。存在意義は、校内セキュリティとして働く事」

童子が答えたのを聞くと、更に質問を浴びせる。
知識欲を付けすぎたか……?

「貴方の……名前は?」

「ボク?童子だよ、黒薙童子」

それを聞いて直ぐに考え込む。
何を考えているのかはサッパリなのだが、何かを考えているのは間違いなかった。

「私は製造ネームR-5000ですが、貴方の製造コードは何ですか?」

その質問にはビックリだ、そんな所まで考えるように造っていたのかと自分に感心する。

「ボクは製造ネームは無いよ、有るのは名前」

それを聞くと更に考え込む。
何でココまで考える必要がある?

「私の名前は何なのですか?」

名前……?
そういえばまだ決めていなかったな、何て名前にするべきか……。
童子が考え込んだのを見るとAIは黙った。
一応、『考える邪魔はするな』とプログラムしていたからだ。

「決めて無いよ、何て名前が良い?」

「私の名前……。貴方の好きな人は?それと同じ名前にします」

ガゴン!
凄まじい勢いで童子の頭がパソコンのキーボードに突っ込んだ。
その所為で轟音が地下室内に響き渡り、部長が目を覚ました。

「なんや?名前がどうこうって、じゃあ決めてええか?」

「どうぞ部長、コイツとんでもない爆弾発言をサラッとするので速く決めてください」

部長はそういわれるとにやりと笑った。
何か嫌な予感がする。

「レインでどうや?外国名やけど、まあ今のアバターの映り具合からして雨降ってるみたいやし」