ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

第28策  首掻き毟って銃で頭撃って剣で腹刺して ( No.59 )
日時: 2010/08/23 20:39
名前: 絶櫨 ◆kaIJiHXrg2 (ID: NN.yKTYg)

「さあ、諸君。この無礼な子達の教育をしなさい」

津堂のその一言で倉庫の窓を突き破り、無数の武装兵が侵入し、銃が神狩と桐嶋に向けられた。
しかし、2人とも顔色一つ変えず、神狩にいたっては偉そうにその場で命令を始めた。

「取り合えず、この場で津堂って馬鹿と東城以外用が無い。簡単に自害しろ」

その言葉と同時に神狩の指がパチンと鳴らされると、武装兵は全て、素手で喉を掻き毟り、銃で自らの脳天を撃ち抜き、剣で自らの心臓を突き刺した。
如何なる強力な催眠術でも、自殺、殺人を強制する事など不可能だが、神狩にはそれが出来るのだ。
何故かって? それは、本能を、理性をも完全に支配するからだ。
殺人を止めるのは理性、自殺を止めるのは本能だ、その邪魔がなくなったとき人間は何だってする。

「えーと、津堂っつったけ? 黒薙と大神に何の用だ……聞くまでも無いか、S級犯罪首だ、取り合えず背負っ引く事にする。ああ、そうそう。神狩、3分後にはココを脱出しろ、部長方が何かしでかすとさ」

桐嶋の言葉の中で、部長方が何かしでかす以外の言葉は頭に残る事はなかった。
それどころか、神狩の頭の中では周辺地理を把握しようと言う考えで満たされた。
よっぽど部長達は危険らしい。
一方、外の部長方は……?

「全我ちゃん、この辺でええ?」

「もう少し北寄りで」

なにやら杭を突き立てているらしい、倉庫からはそれと一緒に海が見えた。

「まさか……幻覚じゃないからな、あの2人」

神狩はトラウマを思い出したかのように頭を抱えてしまった。
それもそのはず、2人合わさった時の破壊力は町一つを軽く粉々にして海に沈めると言う伝説まで出てくるほど強大な物らしいが、見たものがま居ない、真偽の程は定かではないものだ。
それを実際に見て、受けた神狩にはトラウマだろう。

「3分経ちましたね、じゃあ、津堂さん。俺等はこれで、お暇しますね。東城クン、返してもらうよ」

そう言うと、桐嶋は空になり、壊れかけたロッカーを船のようにして腰掛けた。
続いて神狩も同じような事をしているのを津堂は黙ってみているしかない、ワケが分からないのだから。

「3……2……1……ゼロ」

桐嶋のカウントダウン終了と共に倉庫の間窓と言う窓を突き破り、海水が浸入、ロッカーに乗った2人は外へ吐き出されたが、津堂は位置が悪かったのか、渦に巻き込まれている。
なるほど、トラウマになるわけだ。

2人が吐き出された直後、倉庫の強度の問題で破裂し、津堂は廃材の破片で串刺しになって部長達の足元に流れ着いた。

「政府には渡さんから安心しいや。ただ、拷問がまっとるで?」