ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- 第31策 裏社会の天才 ( No.64 )
- 日時: 2010/08/26 14:53
- 名前: 絶櫨 ◆kaIJiHXrg2 (ID: NN.yKTYg)
コツン……コン…コツン……カツン
薄暗い路地に硬い足音が響く。
その足音は、酷く不規則で耳障り、そして周囲の動物を寄せ付けなかった。
もちろん、人間もその動物に含まれる。
「今日の私のスケジュールはどうなっているんだ? フィリア」
声からして、その足音の主は男。
それに対し、
『麻薬密売です』
機械的な女の声だ。
その話し声を聞きつけたのか、2人の男がそいつの行く手をさえぎる。
見たところ、銃を持っているが警官ではないようだ。
「止まりな、てめぇがサージか?」
片方の男が詰め寄るが、そいつは顔色一つ変える気配が無い。
結構体格がガッチリしていて顔も怖いのだが、一行に怯まず、むしろ睨み返している。
「俺がそうだが、何か用か? 死にたいなら殺してやるぞ?」
その言葉に詰め寄った男が切れた。
「てめぇ、賞金首らしいじゃねえか。その首貰ってくぜ?」
切れた男がサージといわれた男に飛びかかり、銃を突きつける!
そのとたん、銃を突きつけたそいつは異変に気が付いた。
裏路地だったのに、表通りに居る !?
「お前、自意識過剰。死んで詫びろ」
そう言うと、サージは手近に居た通行人を、看板を、自販機を、車をも投げつけ、2人を埋めてしまった。
それを聞きつけて警察がそいつを囲む。
まあ、当然と言えば当然なのだが、そいつは顔色一つ変えず、機械のように同じ言葉を言い放つ。
「お前等、邪魔。死んで詫びろ」
その言葉と同時に警官が発砲するも、持っていた短剣でそいつはいとも容易く銃弾を逸らすと地面へとたたきつけた。
「言い直す。権力振りかざしすぎ、死んで詫びろ」
その言葉と同時に投げられた車が警官数名を押しつぶす!
コレだからまったく同じ訓練を受けた同じ考えのやつし甲斐ない組織は危険なんだよ。
そんな事を考え銃を撃ち、積み上げられた車などの山を一気に崩し飛んできた車を止めた。
「大神さん、アレは何の天才だと思います? ……大神さん?」
銃を撃ったのは童子だ。
どうも、大神の様子が可笑しい。
「もう俺には無理だ、大神なら……用事があるってさ」
童子の横に居た大神は頭をもそもそと探るように掻くと髪の毛が外れた。
品川……晴樹君では無いですか、何でココにいるんだよ!
「何でココに戦闘能力皆無の役立たず君が…… !?」
「酷いなぁ、それを言ったら童子君だってドジでお馬鹿じゃん。奴に関して一ついえることは裏社会の人間で、何かの天才だね」
「それくらい予測は付いてる」