ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

第2策  ぶっ飛んだ目標 ( No.7 )
日時: 2010/07/27 21:23
名前: 絶櫨 ◆kaIJiHXrg2 (ID: aeLeTDX9)

「いやー、早かったでホンマ。ワイも驚いたわ」

我がハンティング部部長の白銀 純が楽しそうに童子たちの捕獲結果を聞いて笑っていた。
訛りが凄いバリバリ関西人で、入部したばかりの女子は基本イケ面の白銀部長にほれるのだが、どうも性格的な問題で付き合うことは無いという。
その横で、小さな金髪の女の子が結果と捕まえた犯罪者の賞金額と階級を大きなノートに記録していた。
ノートには、今年捕まえた犯罪者の名前がズラリと記されている。

「今年最速記録や、ζグループが今のところ賞金額はトップやけどまあ、φも捨てたモンやないなあ。ところで大神ちゃん、童子はどなんしたん?」

どうも童子と大神は仲がよく見られがちだが、実際は真逆でとても険悪だ。
だが、喧嘩するほど仲が良いも言うのもあってか基本的に同じグループに振り分けられる。

「童子の馬鹿なら地下だ、俺は行きたく無い」

大神は絶対に行きたく無いとでも言わんばかりにとんでもない殺気を放っている。
それを知ってか知らずか部長の訛り声が大神に命令を下す。

「じゃ、大神ちゃん、頼んだわ。ワイも色々忙しいし、呼んできてくれるだけでええ。今年の目標発表やからなぁ、全員で聞きたいやろ?4月の記念すべき1度目やし」

俗に言う部長命令。
だが実際は、お前等どうせ好き同士なんだろ、だから行ってこい発言だ。

「は……はい、分かりました部長」

仕方なく大神は部室を出ると、出て直ぐの廊下においてある龍のオブジェに目潰しをする。
すると、龍のオブジェの目が潰れ、後ろに1mほど下がった。
オブジェのあった床にはそう、隠し扉だ。

「何でこんなにも厳重なんだかさっぱりだな」

ブチブチ文句を言いながら、大神は"女の細腕"で80kgはある重い鉄の扉を持ち上げ、その先の階段を一気に駆け下りた。
最近、部長の見つけた地下の空洞を賞金首を捕まえた際の賞金で改装した部屋なのだが、どうも変な研究をしているらしい。
聞いた話では、最近UFOの開発に成功したとか。

「おい、童子! 部長が呼んでっぞ!」

取りあえずそう暗い部屋の中に叫んで再び階段を駆け上り、地下から二度と出てくるなとでも言わんばかりに重たい扉を乗せ、オブジェのシッポを踏みつけると元の場所に再び戻った。
それを確認し、部室の扉を開ける。

「あれ?遅かったなぁ、大神ちゃん。童子は入れ替わりでここ来たで?」

その言葉を聞いて、このクソ野郎!無駄な事させるんじゃねえ!とでも言わんばかりに大神は童子を睨みつける。
その視線に気が付いた童子は完全にビビッて居る。

「全員揃ったな、ほな発表〜!」

にぎやかな部長に対し、誰一人として何も言わない。

「何か言えや! ワイが馬鹿みたいやろが!」

その言葉を聞いて、数名が拍手を追加した。
どうもそれで部長は満足したらしい。

「じゃあ発表〜! 今年の目標は、賞金額5兆! クラスは毎年のようにあわよくばSSクラス! ま、最低でも今年中にAクラス以上2人や」

ぶっ飛んだ部長のなんとぶっ飛んだ目標だろう……。