ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

第34策  新渡戸 和夫 ( No.76 )
日時: 2010/08/29 16:10
名前: 絶櫨 ◆kaIJiHXrg2 (ID: NN.yKTYg)

童子たちがバイクで次の目的地へと向かっているころ、神狩は花多と東京をつれてとある町で人探しをしていた。
探しているのはいつかの情報やサイトの経営者で、神狩の友達だ。
……多分向こうはそうは思っていないだろうけど。

「神狩さん、誰を探しているのですか? 情報屋がサイトを開いているのならそっちから入った方が良いのではないでしょうか?」

「探しているのはⅩって呼ばれている人間だ。サイトは確かに開いているがそれは初心者向け、大した情報はない。あの馬鹿曰く完全な情報は自ら取りに来た奴にしか渡さないのがポリシーなんだとさ」

その言葉と同時にその町の人間なのだろう、恐らくヤクザが神狩の前に立ちふさがった。
神狩は、かなり裏世界でも名前と顔が利くらしく狙われるのだがそういう奴とは様子が違う。 

「あれ? 新渡戸クンじゃん、どうしたの? まだあの時罪をなすりつけた恨みでも持ってるの?ああ、 困ったな、人探しの最中で忙しいんだけど……」

その言葉の直後、神狩りはポケットを探ると持ち手まで金属製のナイフを取り出して構えるとそのまま言葉を続ける。
ただ、続けた言葉はいかにも演技くさかった。

「見逃してよ、"弱虫"新渡戸クン」

その言葉に切れたのか、近くの店の雨樋をあろうことか素手で引っぺがすとやりのごとく神狩に投げつけた!
それに対する神狩も凄まじいものだ、飛んできた雨樋を綺麗に竹でも割るかのごとく細かな棒にして見せる。
神狩は、催眠の天才と見られがちだが、実際は見たものをそのままトレースすることも出来る。
つまり、物真似の天才だ。

「ふざけた演技はやめろ。テメェ、どれだけ俺が苦しんだと思ってんだ !?」

その言葉を吐いた時には既に神狩の真横に新渡戸の姿が!
クッソ早い!

「おー怖いねぇ、前に比べて気迫がすごい。前に比べてだけど。常に強くなってるのは君だけじゃない、俺も強くなるんだよ。東京!こいつの顔覚えててくれよ!後で裏の人間として政府に——…」

「ごめんなさい、無理です。興味がないので……」

「何ぃ !?」

そんな会話の途中、神狩の頭を新渡戸の鉄パイプ攻撃が捕らえた。
ガンッ!
まあ、そんな音とともに神狩は思わず頭を抱える。
殴られて頭を抱えるのは当たり前だ。
それに、鉄パイプで頭を殴られ生きているほうがおかしい。

「ッてぇ、殺す気かよ。殺しちまうぞ、新渡戸ぇ!」

その言葉を吐いた直後、新渡戸の鉄パイプによるラッシュが神狩に叩き込まれる!
しかし、新渡戸は気がつく。
今叩いていたのはただの看板、今まさに攻撃されかかっているのは自分だということに!

「いい加減にしろ、殺されたくなかったらな」

その言葉の直後、一本の矢が2人の間を突き抜けた。

「神狩、久しぶりだな。用件は分かっている、ジョーカーのネタか?」

矢の後に裏路地からの声が響く。
情報屋、Ⅹのお出ましだ。