ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

第38策  管理者 ( No.81 )
日時: 2010/09/01 20:33
名前: 絶櫨 ◆kaIJiHXrg2 (ID: NN.yKTYg)

「で、その女は逃げた、と言うよか帰ったってわけか?」

久々に、ふんぞり返って椅子に座りながら全我に仕事をさせる部長が登場。
作戦で数日間誰とも会って無かったから自分の仕事くらいは自分でやるようになったかと期待していたが、そう簡単にこの図太い神経をした部長を変える事は出来ないらしい。

「まあそうなんですが、不可解な点がいくつかありまして、そいつは、『君たちも魔力を狙ってるの? まだこの時代には早いんだけどな、君たちみたいな人』と言っていた事と、大神の怪我を手も触れずに治したことです」

「魔力……かぁ、ちょい待ってな」

そういうと、部長は地下へと降りて行き、数分後、金属製の箱を持って戻ってきた。
よほど厳重に保管されていたらしく、何重にも鍵がかかり、その鍵をはずして開いてもまた鍵のついた箱が入っていた。

「……ああ、開いた開いた」

その箱が鈍い音を立てて開き、中に入っていたものが露になった。
中に入っていたのは……

「緑色の液体が入った……ビン! 部長、何処でこれを……?」

「今日つかまえた奴が持ってたんやけど、これがその運搬されていた——…」

部長が言い切るか言い切らないかの刹那の瞬間に、部室の屋根が砕け散り、"奴"が現れた。
当然、そこにいた数名は言葉を失い、金縛りにあったかのごとく硬直してしまった。

「あぁ、驚かせてごめんね。……また君か、こんにちは、黒薙童子君」

まったく理解できない、いきなり人間を吹き飛ばしていた奴が今度は部室の天井を突き破ってここへとやってきたのだから。

「何で、僕の名前を知ってるの……?」

その質問に、そいつは不思議そうに笑いながら答えた。

「何で知ってるかって? どうってこと無いよ、私は地球上の人間すべての名前を覚えてるし、今も覚え続けてる。魔力をつかさどる神だし、 今いる星の住人の名前くらい覚えててあげないと失礼でしょ。そっちは、白銀純君でしょ?それで君が——…」

大神を見て、名前を答えるものだと思った、そう、その時は、大神おおかみというと思ったんだ。

大神おおがみ氷だよね?」

おおがみ……?

「俺は、大神おおかみだ、"おおがみ"じゃない」

それを聞いたそいつは不思議そうに首をかしげた。

「変だな、君の家族はみんな大神おおがみだったと思ったけど? 現に君のお兄さん、最近君と会ったみたいだけどおおがみって苗字だよ?」

何を言っているのかさっぱり理解できない、何がどうなっている?
こいつが間違っているのか、大神が知らないのか……。

「それじゃあ、君がそう名乗った理由を簡単に説明しよう。君、1回死んで、今 2回目の人生を生きてるから。……君もよ、黒薙童子君」