ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- 第4策 不敗神話 ( No.9 )
- 日時: 2010/07/26 15:34
- 名前: 絶櫨 ◆kaIJiHXrg2 (ID: aeLeTDX9)
毒トカゲ捕獲失敗報告から1時間、部長がいつものごとく童子にチェス、将棋勝負を挑んで記念すべき1000回目の負けを刻んだ所だ。
童子のゲーム不敗神話は半端ではなく、ゲームセンターへ行くとそこに人だかりが出来る程上手い。
実際に、ステージを進むシューティングゲームは完全クリア、オンラインカーレースも全国1位の記録を大幅に塗り替えた。
特にボードゲームで童子に勝てた者は皆無、いい勝負をした者すら居なかった。
「何でや〜! なしてそない強いんや〜!」
部長が部室に響き渡るほど大きな声で悔しそうに叫ぶ。
しかし、それを見て部員達は、『何時もの事だ、放っておけ』としか見ていない。
我等が部長の偏差値は確かに100以上と半端ではないが、童子のIQも200を軽く越すと言う半端では無い数値である。
「部長、ここは角ではなくこっちの桂馬を使って取るべきだったんです。歩は金にする前に取られますから、そっちではなくこっちの銀を使うかしてこれの護衛しないと無駄な手を……」
『今やっていたのは将棋だったのか』そう部員達の考えは一瞬にして統一される。
毎度の童子レクチャーは長い。
その間、部員達は部長と言うお節介な奴をスルーで遊べるのだ。
「俺帰るからな」
大神は部室の扉を開き、外に出ようとしたその時だった。
「視聴者の皆さん!お待ちかねのイケ面!鏡 法泉が来ましたよー!ヒャッホウ!」
コイツは最近忘れられ気味の鏡 法泉。
どうもイケ面でスタイルが良いとモデルにスカウトされ、最近部活動をサボり気味の残念なイケ面君。
ちなみに、どういうわけかあの大神に惚れている。
「大神ちゃーん!一緒に帰ろうよー!」
その言葉に返事の代わりに大神の男撃退股間蹴りが繰り出される。
その蹴りは見事直撃、そのまま法泉は撃沈。
『ああ、お大事に』大半の男子部員はそう思う。
「自業自得ですわ」
全我ちゃん、もう少し心配してあげてよ。
「な……なあ、童子! 暗いから一緒に帰ってやるよ、暗いの怖いんだろ !? 」
大神の放ったその言葉に周囲がニヤニヤとする。
大神とは幼馴染で、小さい時から確かにボクは暗いのが怖いが最近はわりと平気だ。
最近暗いのを怖がっているのは大神ではないのか?
「良いよ、帰ろう」
その言葉と共に周囲が一気に沸く。
狼の顔は完全に真赤、僕の顔も真赤。
そのまま部室を出て、その後どうしたのかは今一覚えていない。
部室を出る時に部長が、
「熱々やなぁ」
と言っていたような気もするが、本当にそう言っていたかどうかは今となっては分からない。