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第42策  見えない壁 ( No.94 )
日時: 2010/10/11 12:02
名前: Neon ◆kaIJiHXrg2 (ID: NN.yKTYg)

童子は扉を超えようと走ると、障害物へと突き当たった。
見えない、やはり魔術が完成している !?
そんな考えをよそに、童子は銃を見えない壁に向け、発砲するもやはりそこには壁があり、銃弾も通さなかった。
どうやら、完成してしまっているらしい。

「マジかよ、クソッタレ!」

その言葉と共に童子は何度も見えない壁を蹴破ろうと蹴りつけた。
本当は分かっている、魔術でなくては壊れないと言う事も。
だが、諦められない事も。

「退いて、頂けますか?」

絶望のどん底へと突き落とされている童子に、何者かが話しかける。
彼は紫色の頭髪と言う風変わりな風貌で、童子に耳打ちした。

「私のニセモノが屋上に居ます、貴方は正面から気を引いてください。私が貴方に気の行っている偽者を仕留めます」

そんな言葉、あてには出来ない。
だが、今はそんな言葉すら頼らなければいけない局面なのだ。

「分かった、やってくれ」

その言葉を聴き、そいつは見えない壁と取り払うように空間をかき混ぜた。
見えない壁、見えない空間。
そんな当てにならないものを信じても、たまには役に立つらしい。
童子は壁が無い事を確認し、屋上へと躍り出ると壁を破った奴と同じ姿の奴に銃を撃った。
こうなれば問答無用、銃を撃って気をひきつける!

「オマエ、誰だ?」

童子は奴へ向って話しかける。
それを驚いたように奴はこちらを見つめるが、それを止めると奴は弾を装填し、パチンコ玉を童子へと向けた。
それを見ると、童子は一言も発することなく銃を撃った。
指の間のパチンコ玉が弾け飛ぶ。

「オマエが誰かと聞いている、質問に答えろ」

童子は有無を言わさぬ眼光を向け、銃を構える。
さすがにきついプレッシャーだ。

「誰ですか、貴方は。何故ここに?」

「セキュリティ全部壊してきたんだよ、手間取ったがな」

「ほう、面白い素材ですね。是非とも欲しい」

奴がその言葉を発した瞬間だった、奴の首に漆黒の剣が突きつけられる。
突きつけているのは、

「誰でしょうか? 私の真似事をする命知らずな輩は」

壁を壊した奴だった。