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ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: ×ドラキュラ-呪われた恋× ( No.2 )
- 日時: 2010/07/23 12:38
- 名前: ビスケット (ID: 9jf1ANEm)
第一話
俺は、ドラキュラ族の王子だったらしい。
俺が生まれた頃、世界はドラキュラ族の天下だった。
町にはドラキュラ達が飛び回り、人々の血を吸いまくっていた。
世界のあちこちにドラキュラの城があり、
そこには奴隷の人間が沢山いた。
そんな良い時代だったのに(ドラキュラ達にとっては)
それから三年で、ドラキュラ族は俺を除いて全滅した。
なんで天下のドラキュラ族が全滅したかって?
俺が生まれた一ヶ月後に、人間共にとっての「勇者」が現れたからだ。
その「勇者」はとてつもなく強かった。
だからたった三年で、ドラキュラ達は全滅させられたってわけだ。
俺の一番昔の記憶は、目の前でその「勇者」にお父さんとお母さんを殺されたところからだ。
手にお母さん達を殺した剣と、でかい盾を持って、「勇者」は俺に近づいてくる。
そのとき、俺はまだ三歳だった。
逃げようにも、まだ翼すら動かせない。
はっきりいって、なにが起こっているのかもよくわからなかった。
たが「ここのままだと、殺される!」とは感じていた。
とっさに、俺は城の中に残っていた、奴隷のフリをしたんだ。
ドラキュラっていっても、尻尾と牙と翼を隠せば、人間に見える。
すると、勇者の奴
「まだ奴隷の子供が残っていたぞ」
って仲間に報告をして、どっかに行きやがった。
馬鹿だよな。ドラキュラの王子を残して行くなんて。
まあ、そういうわけで、俺はただ一人、ドラキュラの生き残りとして、人間のフリをしながら、今日も生きてる。
周りの奴等は、だれ一人気付かない。
俺がドラキュラだって……。
第一話 完
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