ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: Are you detective? ( No.2 )
日時: 2010/08/02 09:35
名前: 獏 ◆jOx0pAVPUA (ID: mXej9PvR)

#01 廃墟

東京都内某廃ホテル

「ちょっと。マジでここ入るの?」
「怖すぎ。私、帰ろうかな……」
四人の若い男女が廃ホテル前に集まっている。
一人の男が携帯を取り出し何やら検索し始めた。
「あ、これこれ。見ろよ」
男が見せたのは恐怖体験を集めたサイト。
「東京都内の廃墟となった○○ホテルに昔射殺された強盗達の霊が出るらしい。
その霊達はホテルに入った者達を殺しているらしい……だってさ」
男が笑顔でそんな話をするものだから、他の三人はそれに怖がりホテル内に入るのを嫌がる。
「もう、帰らない? そんな話聞いてからここ入るなんて私……嫌よ」
もう涙目になりつつある女性。
男は頭を掻いて溜息を落とした。

「分かったよ。じゃぁ、俺が今から一人で行って安全か確かめてくるから。俺が最上階の窓から手ぇ振ったら来いよ?」
それなら、と残った男女三人は頷いた。
男は怖がる様子もなしにホテル内へ入っていった。

それから数十分時間が過ぎた。
「ねぇ、そろそろ時間的にも最上階着いてるんじゃない?」
「だよな……。遅くね?」
何時になっても最上階から男の手は見えない。
不安になった三人はホテル内に入ろうと決心した、その時だった。


「ギャァァアァァッ!!」


辺りに響く男の悲鳴。
それは確かにさっきまで一緒にいた友の声で。
三人の不安と恐怖は最高潮を迎えていた。
「こ、これ……アイツの声、だ……」
顔面蒼白の三人の足は小刻みに震え出している。
男の悲鳴がピタッと止まった。

女の頬を伝う生温かい液体。
「な、に……これ?」
恐る恐るソレに触れる。
指先に付いたのは、真っ赤な“血”だった。
「なん、で。血が?」
見上げた先にあったもの、
それは

顔面が崩れ、血だらけになった男の姿。

「イ、イヤァァアァ!!」
女の悲鳴と共に目の前に迫る友の死体。
死体の落ちた嫌な音が耳を貫く。
流れる血は足元まで濡らし、瞳孔の開ききった目が三人を睨みつけた。
恐怖で震えた足は全く動かず、三人はその場で固まる。
痙攣する男の体、目から流れるのは涙と血。
そして、男の口から発せられた一つの叫びが三人を震わせた。


「お前ら全員、呪い殺してやる!!」


動くはずのない口がそう言い続ける。
三人は震える足を無理やり動かし来た道を走り戻る。
「ヤベェよ!! 本気でヤベェ!!」
「だから行きたくないって言ったのに!!」
車に乗り込み、アクセルを強く踏んだ。
走り出した車のミラーに映る男の姿。
誰もが恐怖で顔を歪めた。

「もう“アイツ”に頼るしかない……」

男の小さな呟き。
「アイツ?」



「そう。アイツ……早稲田大、一年“栢世 名残”」