ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: Are you detective? ( No.8 )
日時: 2010/08/22 13:46
名前: 獏 ◆jOx0pAVPUA (ID: tuG0e6yh)

#07 ゲーム②

一階、二階、三階……全ての階を一通り調べたが、特にこれと言った手掛かりはなかった。
「どこにでもある普通の洋館みたいだなぁ」
泰斗は腕を組みながら長い廊下を進む。
「でもおかしいのは窓がまるで空間に固定されているみたいに開かないこと」
今、自分達がいる洋館の窓や玄関は固定されているかのように開かない。
叩いても、殴っても、割れすらしない。
「……でも、ここまでリアルに情景を見せられる薬物があるのか……」
名残は大きく溜息を落とした。
解決の糸口が見えない。

「な、なな名残!!」

肩を揺さぶられ、名残は機嫌悪そうに泰斗へ目を向けた。
「なんだ、俺は悩んで……」
泰斗の指差す廊下の奥に何かがいる。
何か、
そう、得体の知れない何かが。
黒い人型が自分達の目の前へ迫る。
「なっ」
人型は名残のすぐ前まで迫ると動きを止めた。
名残は右の眼帯を外し、その人型見つめる。
「霊……」
名残の右目に映ったのは小さな少女。
白いワンピースを着て嬉しそうに笑う、まだ幼い女の子だった。
「名残、その黒いのは……何なんだ?」
斎が少女を指差し問う。
「……女の子だよ。まだ幼い」
そして斎の腕を下げさせる。
「霊とは言え、人を指差すのはマナー違反だ」
そして泰斗達から見ればただの黒い人型と同じ目線に立ち、話しかける。
「君は、誰なのかな?」
名残は霊に対して綺麗な笑みを向ける。
今日もまた優しく、温かい笑みを少女に向けていた。

「私は、礼羅。譲原 礼羅」

少女は笑顔を浮かべたまま譲原 礼羅(ユズハラ ライラ)と名乗った。
「そうか。俺は名残だ。後ろにいる馬鹿みたいのが泰斗、あのでかいのが斎だ」
名残はその時考えていた。
ここまで内容の凝った幻覚を見せることができるのだろうか。
それに、だんだんと現実味が現れてきている。
もしかして、これは幻覚じゃないのか。
薬で眠らされ、起きた時の頭が覚醒していない状態が原因でこれを幻覚と勝手に考えていただけなのか。

これは

幻覚でも 夢でも ない

現実なんじゃ、ないのか——