ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 〜ZAME〜生存確率1%の逃走 ( No.13 )
- 日時: 2010/08/03 16:39
- 名前: 黒助 (ID: KF4wky37)
【03話】
警視庁
翼が誤報で容疑者となったことも知らず、警視庁はすでに特別捜査本部を設置していた。
会議室に集められた捜査員100名と、今回の都内連続殺人犯捕獲指揮をする水城雄二。
水城は100名の捜査員の前に立ち、大きなホワイトボードに翼の顔写真を張る。
「犯人は都内大学生の工藤翼。現在逃亡中で行方を追っているが、ここで新たな情報が入った。」
雄二はテーブルの上に置いてある資料を数枚取り、ホワイトボードに次々張っていく。
「彼は交際相手である宮本綾乃と逃走中で、所持している携帯には運良くGPS機能が付いており、現在警視庁上層部の者が追っている。」
「宮本綾乃は共犯と考えてもよろしいでしょうか!!」
捜査員が手を上げ立ちあがり、雄二に質問する。
雄二は首を振り、綾乃の顔写真を翼の写真の横に張る。
「それは現在調査中だが状況と感覚で判断しろ。君ら捜査員は犯人の聞き込み。所轄や地方の警察署はパトロールだ。さぁ、行け!!」
雄二の命令で、捜査員は一斉に立ちあがって会議室を出て行く。
雄二は大きく深呼吸をすると、椅子にかけていたコートを手に取り着る。
「雄二、本当に工藤翼を疑ってるのか?」
雄二の後ろから、整えられた口髭に鋭い目つき、ダークブロンドの髪をした外国人が話しかけてきた。
「カール、FBIが出てくる幕じゃない。首を突っ込まないでくれ。」
アメリカFBIのカール=ロタール・シュルツは、顔を顰めながら雄二を見る。
雄二は一瞬動きが止まるが、ホワイトボードに指を指して説明を始める。
「凶器から指紋に謎の逃走、犯人の象徴だ。彼は私が捕まえる。」
「・・・・分かった。だが、あまり深追いするな。」
「なに?」
雄二はカールの言葉に違和感を感じる。
まるで、何かを悟っているかのような口調だ。
「今回の事件は、何か嫌な匂いがする。」
「勘違いだよ。それじゃあな!」
雄二はコートを靡かせながら、会議室を出て行った。
カールはそんな雄二の背中を見ながら、翼のことも同時に考える。
「無事でな・・・・君は、誰よりも運が良いんだ。」
──────
一方、翼と綾乃は....
逃走から約2時間。2人は路地裏に入り、息を整え、体を休めていた。
「こんなんじゃ・・・・3週間も逃げ伸びれないよ・・・・・」
「綾乃のためだ。俺が最後まで守ってやるから、安心して元気を出してくれ。」
「・・・・・ありがとう。」
綾乃は顔を赤らめながら、翼の顔を見た。
翼は笑顔で綾乃を見る。その時だった。
ピリリリ♪ ピリリリ♪
携帯が鳴り響く。恐らく、あの男からだろう。
翼は携帯を取り出し、電源を入れた。
『やあ、どうだい?まだ逃げ続けているらしいね。』
『当たり前だ。大切なものは、絶対になくさせない。』
『そのいきだよ。さあ、ここでちょっとしたゲームをしないか?』
『はぁ!?』
──────
不明....
壁一面に埋め尽くされたモニター。部屋の暗闇を、画面の光がぼんやりと照らす。
「さてと、君たちの出番だよ。」
男の言葉で、後ろから2人の男女が現れる。
「粕谷姫咲、旭憂威。彼らを死に追い詰めろ。」
「了解です。」
「ミスターXの命令ならば、法を犯してでもやり遂げます。」
2人はミスターXに一礼すると、暗闇の中へと消え去った。
ミスターXは画面に映る翼と綾乃を見ると、不気味に微笑む。
「ここからだ・・・・・」
生存確率1%の逃走を頑張りたまえ______