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Re: 〜ZAME〜お知らせ ( No.34 )
日時: 2010/08/10 12:55
名前: 黒助 (ID: AidydSdZ)

【06】

翼が乗り込んだパトカーを先頭に、残りの4台のパトカーが並んでついてくる。
後ろのパトカーのどれかに、綾乃が乗っている筈だ。

「貴様はこれから留置所へ向かい、それから裁判をする。覚悟しておけ。」

助手席に座る水城は、翼に皮肉たっぷりに言うと、運転をしている高橋の方を向く。

「高橋、関東中央留置所へ行け。」


「やだ。」


「なに!?」


水城はこの時、運転席に座っているのが高橋でないことに気付く。
謎の男は帽子を脱ぎ、水城の顔面にパンチを喰らわした。
しかし、水城はパンチを避け、腰から銃を取り出そうとした。
その直後だった。

「おらぁぁぁぁ!!!」

手錠をかけたまま、翼が水城の後ろから首を絞める。
水城は拳銃を足もとに落とし、謎の男が拾い上げた。

「形勢逆転っすね。」

「連太郎・・・・お前・・・・・」

男の正体は、旧警察署の前で別れた筈の連太郎であった。
連太郎は銃を水城に向け、水城は渋々手を挙げた。

「くそ・・・。高橋はどこだ?」

「あのひ弱な刑事なら、今頃どこかでくたばってるよ。」

「それより、綾乃を助けないと。」

「無駄だ。諦めろ。」

水城は鼻で笑い、一瞬の隙をついてトランシーバーの電源を入れた。

「こちら水城!!先頭車両が敵に奪わ・・・・」

「この野郎!!!」

連太郎は、拳銃で水城の後頭部を殴る。
鈍い音が車内に響き、水城は呻き声を上げながら気絶した。
連太郎はポケットにある手錠の鍵を翼に渡すと、トランシーバーの電源を切る。

「このままじゃ綾乃さんを助けられないっすよ。一旦、引きましょう。」

「で、でも!!・・・・分かった。」

翼は冷静に考え、渋々頷く。
相手は警察。強引に綾乃を連れ戻せる確率は低い。

「一旦、警察を巻くっす!!」

連太郎はそう言うと、ハンドルを右に切って路地裏へと逃げて行った。


**********


「ん〜!!!ん〜!!!!」


ガムテープで手足に口を縛られた高橋は、旧警察署内のエントランスに倒れていた。
必死にガムテープを剥ごうとするが、手足を縛られているためにどうしようもできない。


「あれ?・・・警察?」


姫咲は薄ピンクのロングスカートを靡かせながら、倒れている高橋に近づく。
高橋は姫咲の顔を見上げ、助けを求める。

「私の願いを聞いたら、助けてあげる。」

「ん〜!!ん〜!!」

高橋は何度も頷き、OKのサインを出す。


「死ね♪」


バン!!!


静かな旧警察署に、一発の乾いた銃声音が鳴り響いた。
高橋は額を撃たれ、白目をむいてすでに即死。
姫咲は高橋のポケットから警察手帳、手錠、拳銃を取り上げその場を後にした。