ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 〜ZAME〜生存確率1%の逃走 ( No.4 )
日時: 2010/08/02 13:56
名前: 黒助 (ID: KF4wky37)

【01】

俺の名前は工藤翼。都内の大学に通う普通の男だ。

一人暮らしには勿体無い3LDKのアパート、大きな液晶テレビ、新品のパソコン。

全てが揃っているような感じだが、俺にはあるものが欠けている。

それは・・・・・



運────



俺は運が人並みにない。両親の遺伝とは思えないし、考えるだけで疲れる。

いらない話はさておき、物語を始めようか。



‾‾‾‾‾‾‾‾



ピンポーン♪

チャイムが鳴り、工藤翼は読んでいた小説を棚に戻して玄関に向かう。

「はーい・・・・お!綾乃、おはよう。」

「翼、今いい?」

翼の彼女である綾乃は、朝の10時過ぎから家にやってきた。
普段は連絡ぐらいはくれるはずだが、この時はなぜか連絡も電話もないまま来た。

「何?こんな朝早くからどうしたの?」

「ちょっと・・・相談が・・・・・」

「相談?」

翼はとりあえず綾乃を自宅に入れ、テーブルにオレンジジュースを出して座った。
綾乃も座るが、なぜかずっと俯いている。
この時、翼は初めて様子がおかしいことに気付いた。

「何かあったのか?」

「う、うん・・・・実は・・・・・」

綾乃が口を開いた直後だった。


ピリリリ♪ ピリリリ♪


タイミングが悪く、翼の携帯が部屋に鳴り響いた。
綾乃は翼に目で合図をして、出ていいというサインをもらった。
翼は苦笑いをしながら「すまない」というと、携帯を開いて電源を入れた。

『はい?』

『おはよう。それでは、ゲームを始めようか。』

『は?』

携帯の向こうから、雑音混じりに謎の男性の声が聞こえた。
しかし、言っている言葉の意味は分からない。

『君は、これから3週間逃げ伸びろ。ゲームオーバーになれば、君の大事なものは一瞬で消える。』

『お、おい!!いたずら電話なら切るぞ!!』

『・・・・そう思うなら、目の前にいる彼女に聞いてみな。』

『なっ!?』

翼は男の言葉で、綾乃の顔を見る。
すると、綾乃は涙を流しながら、無言のままゆっくりと頷く。

「綾乃・・・・・」

「昨日、電話があって・・・・翼を説得しろって・・・」

翼の知らない場所で、そんなことが起きていた。
しかし、何が目的だ?これが翼の頭を過る。

『俺はずっと監視している。今もな。お前が3週間後生き延びていたら、お前の大事なものは失わずにすむ。』

『彼女になにかしてみろ!!ただじゃすまないぞ!!』

『ふふっ・・・。まあ、健闘を祈る。』

『お、おい!!』


ブツン!! プー プー


・・・・・・・

翼はこの時まだ知らなかった。
今現在、自分がどういう立場に陥ったかを_______