ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 〜ZAME〜8話&キャストUP☆ ( No.41 )
- 日時: 2010/08/12 20:16
- 名前: 黒助 (ID: AidydSdZ)
あらゆる生あるものの目指すところは死である__
精神分析学者 フロイトの言葉
【09】
2日後
翼、連太郎はたった2日の間で綾乃奪還作戦の計画をたてた。
そして、現在2人は車である場所に向かっていた。
「留置所から裁判所までは約2時間、その間に綾乃さんを助けれるポイントは一つだけ。」
連太郎はそう言いながら、車を止めて指を指す。
翼も綾乃を助けれるポイントを見た。
それは、留置所から裁判所までの道のりで唯一ある直線道路だ。
この直線道路は東京湾沿いにあり、見通しは良いが、車の通りは少ない。
この道で奪還を失敗すれば、恐らく綾乃を助けれることはできないだろう。
「もうすぐだろ?気を引き締めて行こう。」
「そうっすね。」
車を直線道路のど真ん中に止め、素早く下りると傍にある大きな木の陰に隠れる。
そして、綾乃を乗せた護送車が来るのをじっと待つのだった。
─────
20分経ち、翼達が来た方向から一台の大型護送車が姿を現した。
周りに護衛はおらず、一台だけの護送だ。
「車が止まったら、後ろに回り込んで綾乃を助けるぞ。」
「分かったっす。」
2人は顔を合わせて頷き、いつでも行けるポーズをとる。
そして、護送車は道の真ん中に止まっている連太郎の車の近くでゆっくりと止まった。
その直後に、2人は静かに護送車の後ろへ回り込む。
「おいおい!!一体、何なんだ!?」
運転席から降りたSATの一員と思われる男性は、連太郎の車に近づき、車内を覗きこむ。
すると、護送車の後ろの扉が開き、太り気味体系である男が降りてきた。
「どうした?早くどけるんだ!!!」
「東郷隊長、これは一体?」
警視庁警備部第1機動隊の隊長である東郷隆正は、車を見ると怒りの表情を現した。
「時間がないのだ!!窓でも割って早く動かせ!!」
「は、はい!!!」
隊員は東郷の気迫に圧倒され、素早い動きで窓ガラスを割り車内に入る。
その直後だった。
護送車が勝手にバックを始め、助手席に座っていた男性が外に放り出された。
「あ、あいつら!!!指名手配犯だ!!!」
東郷は助手席に座る翼の顔を見て大声を出す。
連太郎はバックしながらドリフトをして方向転換し、そのまま走り去っていく。
「くそ!!!・・・・その車で追いかけろ!!!!」
東郷は目に入った連太郎の車を見ながら言う。
ちょうど乗っていた隊員は命令通り、そのまま車を動かして護送車を追った。
**********
目黒区
平和で活気の溢れた公共の道路である双葉大通りは、2台の車が突入した途端に空気が一変した。
護送車と軽自動車のカーチェイスが、激しく行われていた。
「綾乃!!大丈夫か!?」
「つ、翼ぁぁぁぁ!!!!!!」
翼は助手席から後ろに行き、座っていた綾乃に抱きついた。
それはまるで、数か月も離れていたカップルが再会したような光景だった。
「良いところ悪いんだけど、翼は前に戻ってっす!!」
連太郎は語尾を強くしながら、ハンドルを右に動かす。
翼と綾乃は、シートにしがみついて激しい動きに耐える。
「このままじゃやばいっすよ!!」
「どうにかできないのか!?」
「無理っす!!!この車大きいし、俺は元々軽自動車専門なんっすよ・・・・ん?」
連太郎はふと、サイドミラーを見てあることに気が付く。
後ろから追ってくる車の更に後ろから、謎の真っ赤なスポーツカーが追ってくる。
翼と綾乃もそれに気が付くと、翼は窓から顔を出してスポーツカーを確認する。
「警察・・・・じゃない・・・・・・」
スポーツカーは翼達を追う車の横に並ぶと、そのまま勢いよくぶつかった。
すると、車はスピードのせいでバランスを崩し、そのまま道に立っていた電柱に衝突。
「おっしゃあ!!!」
連太郎は一瞬笑顔になるが、すぐにその表情は青白い顔へと変わった。
「お、俺の車がぁ〜ぁ!!!」
「しょうがないだろ!!このままいくぞ!!!」
悔む連太郎を無視し、翼は連太郎に指示を出す。
そして、3人を乗せた護送車と謎のスポーツカーは、そのまま人気のない通りへと姿を消した。