ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 〜ZAME〜生存確率1%の戦い 10話UP☆ ( No.47 )
日時: 2010/08/15 08:50
名前: 黒助 (ID: AidydSdZ)

【11】


『昨日未明、東京裁判所へ護送中であった宮本綾乃(22)が、現在指名手配中の工藤翼の襲撃により逃亡しました。この件をきっかけに、警視庁は一斉検問を行うことを決めました。尚、工藤容疑者には複数の仲間がいることが判明し、警視庁は数日後には指名手配にすることを記者会見で発表した模様です。』


「まったく・・・一体どういうことだい?」

モノトーン風な部屋に、翼、綾乃、連太郎、春夜はいた。
4人の目の前には、翼の友人である田熊昌一が不満そうな顔で翼を見つめる。

「全部ウソだ。ここにも長居はしないから、心配しないで。」

「あぁはいはい・・・っで納得できるわけないだろ?翼、お前何に巻き込まれたんだ?」

田熊は冷静に翼に問うが、表情は怪訝である。
翼は頭を掻きむしり、一旦ため息をつくと春夜の顔を見る。

「説明はなしだ。そろそろ行こう、車は借りて行くぞ。」

「お、おい!!!」

春夜は足早に玄関へ向かうと、靴箱の上に置いてあった車のキーを手に取り、外へ出て行った。
田熊は出て行く春夜を見ながら、足を止めて諦めた。

「分かったよ!!車は勝手に使え。・・・何か分かんないけど・・・・死ぬなよ・・・・」

田熊は悲しそうな顔をしながら、翼の顔を見る。
翼は笑顔で頷くと、田熊の肩を軽く叩いて、急いで外へ出て行った。

「ありがとうっす!!」

「田熊君、ありがとう。」

「あぁ・・・宮本!!」

田熊は綾乃を呼びとめ、険しい顔つきになる。

「お前が、翼を支えてやれよ。」

「分かってる♪ありがとう。」

綾乃は笑顔で田熊に言うと、そのまま玄関から出て行った。


─────


『ミスターX、今出て行きました。』

『追えるか?』

『特に問題はありません。車は貸しましたが、発信機を予めつけていたので大丈夫です。』

『そうか、期待しているよ。田熊君。』

田熊は携帯の電源を切ると、不気味に微笑み、黒い手袋を装着する。
棚に置いてあったサングラスをかけ、翼達を追うように自宅から出て行った。


**********


警視庁


頭に包帯を巻いた水城は、特別捜査本部が設置されている会議室にいた。
ホワイトボードに貼られている翼、綾乃、更に連太郎の顔写真を見ながら表情を変える。

「何が目的だ・・・・。なぜ東京にい続けるんだ・・・・」

翼達がZAMEに参加していることも知らず、水城はただただ深く考える。
水城は持っていたコーヒーを飲みながら、ほかの資料に目を通す。
その瞬間だった。


『全捜査員に通告!!全捜査員に通告!!』


大きなサイレンが警視庁全体に響き渡り、水城は驚きのあまりにコーヒーを落とした。

「な、なにごとだ!?」

「本部長!!警視庁の屋上にあったヘリコプターが一機盗まれました!!!」

会議室に駆け込んできた捜査員は、息を荒げながら言う。
水城はその言葉を聞き、呆然とした表情を見せる。
警察署ならまだしも、警視庁でこんな事態とは前代未聞の騒ぎだ。

「誰が盗んだか分かるのか?」

「たまたま屋上にいた捜査員2名が目撃しております。2人は・・・制服を着た男性が・・・盗んだと・・・・」

「警官が!?」

水城は更に驚き、頭が混乱状態に陥る。

そして事態は_____


最悪の方向へ向かうのだった_____