ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 〜ZAME〜生存確率1%の逃走 ( No.5 )
日時: 2010/08/02 22:25
名前: 黒助 (ID: KF4wky37)

【02】

どう対処すればいいのか分からない。
翼は綾乃を見ると、手を引っ張り玄関に急いだ。

「どうする気?」

「とりあえず逃げた方がいい。俺、車取ってくるからエントランスに行って。」

翼は綾乃に言うと、階段を一気に下り駐車場へ急いだ。
車は数台止まっている。翼の車は一番奥の1番に・・・

「はぁ!?車がない!?」

翼の車が忽然と消えていた。どうやら、自分達の足で逃げろということらしい。
翼はエントランスに行き、車を待っている綾乃に声をかけた。

「綾乃、車は取られてる・・・・。走って逃げよう。」

「え!?で、でも、どこに逃げる気?」

「・・・・・連太郎のところ行こう。」

翼の案に、綾乃は首を横に振った。
綾乃は翼の目を見て、真面目な顔つきに変わる。

「関係のない人まで巻き込んだらいけないよ。」

「・・・・そうだよな。それより、あの男生き延びろって言ってたよな?」

翼は、数分前に携帯から電話してきた男の言葉を思い出す。
確かに、あの男は生き延びろと言っていた。
しかし、3週間も何から・・・
翼がふと、エントランスの向こう側を見たその時だった。

「なっ!綾乃避けろ!!!」

翼は綾乃を掴み、そのまま駐車場へとつながるドアに飛び込んだ。
と同時に、轟音と共に一台の大型無人トラックがエントランスに突っ込む。
ガラスの破片が床辺り一面を覆い、壁にぶつかって停止した。

「嘘・・・・」

「これは・・・マジでやばいな・・・・・」

翼は綾乃の右手を掴み、その場から走りだす。
ここにいては危ない。いや、どこにいても危ない。
あの男の言った言葉は、どうやら全て本当らしい。
これで確信した。
逃げなければ、死ぬ________



───────



翼のアパートを飛び出した2人は、人目の多い大通りに出た。
すると、数台のパトカーが2人の横をサイレンを鳴らしながら横切って行く。

「さっきのかな・・・・?通報早くない?」

「う、うん・・・・不自然だ。」

つい1分前の出来事で、警察がこんなに早く対応できるとは思えない。
何か、違和感を感じた。


ピリリリ♪ ピリリリ♪


翼のズボンのポケットから、着信音が聞こえる。
翼は急いで携帯を取り出し、電源をすぐに入れた。

『どうやら、あの攻撃は避けたらしいな。まあ、あそこで死んだらつまらないしな。』

『お前!!一体どこにいる!?』

『君に聞く権利はない。それより、君はそんな場所に立っていて大丈夫なのか?』

男の言葉に翼は思わず首を傾げる。
この言葉の意味は分からない。

『君と彼女、今大通りに立ってるよね?それなら、近くのデバートに設置されてある大型画面見な。』


ブツン!! プー プー


携帯は、翼の有無を言わずに切られた。

「どうしたの?」

「デパートの画面見ろってさ!!」

2人は上を見上げ、近くのデパートに設置されている画面を見つけた。
すると、そこには驚愕の内容がニュースされていた。


『つい先ほど入った情報です。先週から続いている連続殺人の犯人の顔が特定できました!!』


大慌てで資料を読むニュースキャスターの女性。
この時、翼と綾乃は嫌な予感が頭によぎった。


『連続殺人の犯人は、都内に住む大学生工藤翼(20)の犯行によるものです。凶器から指紋も発見されており、現在警視庁は犯人の行方を追っています。』


嫌な予感が当たった。
どうやら、ただ逃げているだけでは逃げきれない。

「あの野郎・・・・」

「・・・・一応聞くけど、やってないよね?」

「当たり前だろ!!全部あの男にやられたんだ!!逃げるぞ!!」

翼は綾乃の手を引っ張り、大通りから駆け出した。
相手は男だけならまだクリアできる余裕はあった。だが、警察も敵になるとは・・・・
翼はため息をつくと、綾乃と共に急いでその場から走り去った。