PR
ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 本好き魔女の不思議な図書館 キャラ絵描いてみた ( No.103 )
- 日時: 2010/10/14 23:37
- 名前: 白魔女 (ID: 4fZ9Hn2K)
足早に、現場まで向かう。場所は明らかだった。ルーフのアパートの通りの、すぐ向こうに人だかりが出来ている。
「今さっき見つかったばかりだそうです。私が行ったとき、ちょうど数人が警察へ通報していたので——」
近くへ行ってみると、人ごみの真ん中にはドーム型の透明な結界が張られていた。
「魔法陣です。警察しか中に入れないようにしてあるものですけど」
ざわざわと騒ぐ人ごみを掻き分け、ようやく結界のすぐそばまでやってきた。中では魔術師のような人達が数人、しゃがんだり立って誰かに通話している。
——そして、真ん中には——血の気がない、なんて生易しいものじゃなく、からからに干乾びてしまったような女性の死体が、そのままの状態で転がっていた。青っぽい、灰色のような色の肌が見え、翼は思わず口をふさぐ。
「こ、この人は一体——」
ミーナが悲鳴に近い声を上げると、近くのベレー帽を被ったおじさんが答えた。
「全身の血を抜かれたようだよ……可哀想に、まだ若いのに……」
血を、抜かれた——?
それがどういう事なのか、現実逃避しようとする翼の頭が、ようやく理解したとき、
ぐるりと、世界のすべての色が反転したような気がした。
PR