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三話・ここは、魔法の図書館なのよ



「ここは、魔法の図書館なのよ」


　えっへんと、威張るように女の子は言った。


「へぇー…魔法の……」

　それなら、すべてが納得いく。そうか、この図書館は魔法をかけてあるから外と中が違く、この女の子も魔法でティーカップを出したと。決して手品ではなく。なるほど、なるほど——。


「魔法！？」

「そうよ」

　そっ、そんな非現実的な事、俺は認めないぞ——翼がそう言いかけた時だ。少女が口を開いた。

「なら、見せてあげる」

　女の子はすっと手を広げてみせた。そして、何かやわらかいものを握るように、少女は手を閉じる。すると図書館の中にあったろうそくすべてが一斉に、ふっと消えてしまった。あっと叫ぼうとすると、何か天上がキラキラと光っているのが目に入った。これは——蝶だ！　無数に光る蝶が、こちらに向かって飛んでくる。そして翼の目の前で蝶は女の子を取り巻いてしまった。

　すると女の子はまたパチンと指を鳴らした。パッと、蝶は小さな塵と化して消えてしまった。図書館の中のろうそくが、息を吹き返したようにまた燃え始めた。しかし明かり以上に不思議なことが、翼の目の前で起こっていた——……。