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ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 本好き魔女の不思議な図書館 キャラ絵描いてみた ( No.97 )
- 日時: 2010/10/10 18:30
- 名前: 白魔女 (ID: 4fZ9Hn2K)
「——学校の中は、こんな感じですかね。どうですか? 楽しめました?」
「え、ええ、まあ——」
最後に回った教室が、解剖教室って——翼は半分ルーフを睨みながら、返事をした。
「魔術師はたまに外で見かけたりもしましたが、ここまで魔法だらけ何は初めてだったわ」
真面目に感想を述べようとミーナが口を開くが、それでも口元を手で押さえている。
「今日はもう、お疲れになったでしょう。簡単に食事を済ませ、お休みになったほうがいいです」
「あ、ああ——ありがとう、ルーフ」
三人が歩き始めたとき。
一人の少年が三人の横を、風が切るように早足で駆け抜けた。黒髪で、肌に血の気のない少年だったが——。翼はその少年の顔を、表情を一瞬だけ読み取った。
笑っていた。こちらに向かって、にたりと笑いかけていた。
ぞわりと背筋を何かが駆け抜けた。ふと振り返ると、ミーナが真っ青な顔をして立ちすくんでいた。
「ミーナさん? どうかしました? 翼さんも、何かあったんですか?」
「あ。いや……」
ハッと、現実に戻ってきたようにミーナの瞳に光が差した。
「ちょっと目がくらんだだけですよ。疲れているだけです……」
「そうですか、なら今日は早めに家に帰りましょうか」
二人がそう会話している横で、翼は廊下の先を見つめていた。
先ほどの少年は消えていた。
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