ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: メイの冒険 ( No.5 )
日時: 2010/08/03 17:58
名前: ガゼル (ID: gM9EmB37)

第1話 初めの第一歩 1−1

「きゃー!」

 長いまつげに縁取られた鳶色の大きな目の幼い少女は目を覚ましたとたん大声をあげた。
 
 「パパァ!ママァ!なんか知らない人が、いっぱい……?」

 少女が驚くのは無理もない。両親を探すように周りを見回してみると彼女が眠っていたベッドを取り囲むように10人ほどの白雪姫に出てくるような小人達が取り囲んでいたのだ。

 「ええ?な、なに?こ、小人さん?それも10人?それじゃ3人多すぎるよぉ……小人さんは7人じゃないと」
 
 少女はまだ寝起きなので、混乱していた。
 よくわからないがこの小人さんたちは恐ろしい顔などしていない。ちょっと不安はまだあるがとりあえず、朝起きたときの習慣で無意識のうちに手になじんだ感触を探して手を伸ばした。彼女はすぐに探していたものを見つけて抱きしめた。三つの誕生日にもらってからずっと一緒にいるクマのテディ。

 「いっ!いたぁい……ママァ……どこにいるのぉ」

 急に動いたからか全身がひどく痛んだ。なんだ、この痛み?どうして知らない間に怪我をしているのだろう……骨でも折ったのだろうか。少女は不思議に思ったがあまりの痛みに涙がにじんで、手に持っていたテディをぎゅっと抱きしめ母親を目で探した。

 『@%%#』

 明らかに母親ではないと少女にはわかっていたが、女の人の声が聞こえて振りむくと、一番小柄でスカートをはいた小人さんが動いちゃだめよ、とでも言うように少し眉間にしわを寄せながら、さっと手を差し伸べてその小さな少女がベッドに落ち着くのを手伝ってくれた。なんとなく、声が出なくて頭を下げると彼女の眉間のしわが少し和らいだ。

 『%$**$##%?』

 不意に少し渋い低い声が聞こえて少女は見てみると、中でもめがねを掛けた小人が少女のほうを見ていた。少女は思わず息をつめた。めがねの奥に聡明そうな光をたたえた目で何かを確認するように彼女を見やり、その後一言周りの仲間達になにかを言った。

そうすると、今少女を手伝ってくれた女の人を除くほかの小人達はしぶしぶといった様子で後ろに下がった。とはいっても小さな同じ部屋の中で、興味と不信が半分半分といったような面持ちでまだじっとこの小さな女の子のことを観察するように見ていたのだけれど。

それでもすぐ間近に迫られていないだけで少し圧迫感も和らいで少女は思わずほーっと息を吐いた。どうやらそのめがねの小人が少女が怯えてると思ったのか、少し離れていろとでも言ってくれたようだ。