ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: メイの冒険 ( No.6 )
- 日時: 2010/08/05 20:16
- 名前: ガゼル (ID: gM9EmB37)
第1話 初めの第一歩 1−2
少女はとりあえず、ベッドの周りを取り囲まれていた状況からは解放されて、やっと周りを見回す余裕が出来た。少女は今まで寝ぼけてててっきり自分の部屋のベッドに寝てるものだと思ってたのだが、実はぜんぜん見覚えがない部屋にいることにやっと気づいた。そのことに不安になって両親を探すが周りにはこの10人の小人たちしかいないようだ。少女の家は東京の郊外にある現代的な二階建ての家である。ログハウスと言えば聞こえはいいが、丸太を切り出して組み立てたようなこの家とはまったく違う。
ベッドから見える窓の外には森が、遠くには高い山が見える。どこか観光地の別荘にいるのだろうか。というか、なぜこの小人さんたちと一緒にいるのかがまずわからない。……まさかこの小柄な彼らは誘拐犯なのか?背は小人といっていいほど小柄で、昨日6歳になったとはいえ、同年代の他の子達と比べ少し成長が遅めのこの少女より頭ひとつ分ほどしか高くないようだ。しかし、体つきは少女の腰よりも太い上腕をもちこの小さな少女など簡単に運べるほどの力持ちに見える。とはいえ、めがねの男の人や先ほど支えてくれた女の人がいるように悪い人たちには思えない。
少女にはは自分がなぜここにいるのかまったくわかっていなかった。昨日の夜はきちんと自分の部屋のベッドで寝たはず……、と考えて、そういえば昨日は6歳のお誕生日のお祝いに家族みんなで食事に出かけて、あまりの楽しさにはしゃぎすぎてその後車の中でうとうとしてしまったな、と思い出した。いつおうちに帰ったのかも覚えていない。
「あれ?わたし家に帰ってないのかな?」
なにかがおかしい。なぜ覚えてないのだろう。それにしても、体中に感じるこの痛み、ひどい怪我ではないみたいだけど、あちこち動かすのが痛い。骨折はしてなくてもひびでも入ってたらと思うと余計に両親が恋しくなった。でもこんな怪我をいつした……?
自分の両親はいったいどこなのかひどく、嫌な予感がしてそれ以上考えたくないような気がした。
『@#$%%$』
そのまま少女が物思いに沈んでいると、また何かめがねをかけた小人が言ったが、今度はどうやら芽衣に話しかけていたようだ。
少女は何を言われているのか言葉はまったく意味はわからなかったが、その小人が辛抱強く少女の返事を待っているような気がして、弱ってしまった。
「あの、なんていってるかわかりません……」