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...第序章

''死こそが美しい''……。
　これは、昨日逮捕された連続殺人事件の犯人の言った言葉だ。この発言に対して全国から反響があった。
　今、テレビ画面の中で、今回の事件の被害者の遺族達が怒り狂って犯人の死刑を訴えている。しまいには、犯人を殺してやると泣きわめきだした。殺意が芽生えても無理は無い。
　警察署に巡査部長として勤めている父は、例の発言が問題になってからというもの、ずっと機嫌が悪かった。
　お陰で僕は父に些細な事で何度も怒鳴りつけられる羽目になったのだ。
　しかしだからといって犯人を恨んだりはしない。むしろ、例の発言に対し共感を覚えていた。しかし、彼の犯行は許されることではないだろう。
　例の発言をした彼に対し、精神的に問題があるのではないかという声があがったことから、彼は精神鑑定にかけられるらしい。
　もし精神に問題があったとしても犯行に及んだ事実は変わらない。罪の重さだって変わらないと僕は思う。
　でも実際はどうだ。精神に問題があれば、それだけで刑が軽くなるではないか。
　遺族達の映像からスタジオに映し変えられると、この国はどうかしているのではないかとニュースキャスターが怒っていた。