ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 誰も知らない誰かの物語 ( No.12 )
日時: 2010/08/23 15:44
名前: 神無月 (ID: XOYU4uQv)
参照: http://www.youtube.com/watch?v=GEdRF99A4KA


第二幕 「染まる坂道で」


目に入ったのは、鮮やかな赤と、どこか心の温まるやわらかなオレンジ。


—ゆうやけこやけで ひがくれて やまのまきばの—


「・・・あ」


どこかで聞いたことのある歌。振り向けば、手をつないだまだ幼い子たちが口ずさんでいた。

じっと見つめて、どこか感じた既視感。


「・・・?」


楽しそうな声をあげながら駆けていく子ら。ゆるやかな上り坂の上から顔を覗かせた夕日が子供たちと私を照らす。

と、



「・・・・・!!」



—この子たち、“影”がない



それは、つまり。


「ゆう、れい・・・・?」


思わず零れた小さな声。前を歩く子供たちには聞こえない・・・はずなのに。

突然、ピタリと足を止めた子供たちがふり返った。


「・・・・!?」


ありえない。だって、だって、あの子は・・・


「どうして・・・・」


ふり返ったその顔は、幼い頃の私と・・・キミ。

しばらく私をじっと見つめていたその子たちは、再び前を向いて駆けだした。


「あ・・・」


待って、という言葉は何故か出てはこなかった。後を追うように伸ばした手を、ゆっくりと胸元へ引き寄せる。そのまま、目を瞑って俯いた。



—からすといっしょに かえりましょ・・・クスクスクス—



微かな笑い声に顔をあげれば、そこにはもう、誰もいなかった。


「・・・・・」


燃えるような赤が、街を染めていく。それを見ながら、再び歩き出す。

胸に残る微かな痛みに気付かないフリをしながら。





     *(あとがき)


・・・・ハイ。またまた駄作すんません。
これは、友達に「オレンジ」で書いて、とお題を出されて書いたものです。

今回は短編っぽかった!!!やった!!

今から二日間いない分だと思ってやって下さい。