ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 誰も知らない誰かの物語 《お題募集中》 ( No.42 )
- 日時: 2010/08/23 16:32
- 名前: 神無月 (ID: XOYU4uQv)
- 参照: http://www.youtube.com/watch?v=tqb6mNrkWu4&feature=related
第四幕 「宵待草」
太陽が静かに西へ沈んでいく・・・。
宵の明星が、その存在を知らしめるかのように浮かびあがった。
日の光に隠され、昼間は弱々しく揺れていた月が煌々と輝きだす。
闇はいっそう濃くなり、あたりを覆い尽くした。
「もう宵闇は過ぎたか・・・」
その空を見上げながら、一人の男が呟いた。月の光に照らされているはずのその姿は、しかし確認することが出来ない。
「残念だな・・・あの空が一番好きなのに」
確かにそこに存在するのに、・・・いや、“存在しているか”すら危うい。
何故なら彼がそこに存在するという証拠は、静かに紡がれるその声だけなのだから。
ザァ・・・、と風が男の足元に咲く花を揺らした。黄色の花弁が儚げに散る。
「宵待草(よいまちぐさ)か・・・」
“宵待草”—それは、夕刻に開花し夜の間咲き続け、しかし翌朝には萎んでしまうという花だ。
正式には“待宵草(まつよいぐさ)”というのだが、男はこの呼び方があまり好きではなかった。
—『待っているわ』
「ほのかな恋、だったかな」
男は花言葉を確かめるように呟いた。
—『いつまでも、いつまでも待ち続けているわ』
が、すぐに皮肉げに口元を歪める。
「あぁ、移り気・・・でもあったな」
男は、そう心底楽しげに言った。
—『もう、待っているのは嫌!!』
男は揺れる小さな花を見つめた。初めてこの花のことを知ったのはいつだったか。思い返したのは、白く細い手に握りしめられた黄色の花と、幸せそうに微笑むあいつ。
—『“待つ”に“宵”と書いて“待宵草”と言うのよ』
初めは、ずいぶんと質素な花だと思った。あいつが持っていなければ、きっと自分は目にも止めなかっただろう。
—『待ち続ける宵の花・・・素敵だと思わない?』
綺麗だと、思った。
あいつが見る世界はいつも輝いていて、傍にいるとどんなものでも美しく感じられた。
そんなあいつが、自分に見せた花。美しいと思わないはずがない。・・・なのに。
—『この花にはね、もう一つ名前があって・・・』
「待ち続けることを、この花はやめはしないのに」
どこか遠くを見るような目をして呟いた。
ザアァァー・・・、と再び風が黄色の花弁を散らしていく。
ふと、空を見上げれば、空は少しずつ明るみ始めていた。もうすぐ夜が明ける。
「“宵”を“待ち続ける”花・・・か」
“宵”—終わりの始まりを、待ち続ける花。
—『終わりを待つのなんて嫌だわ。だから、私はこっちは嫌いなの』
そう言ってちょっと拗ねたように頬を膨らませた。
あいつは、もういないから。
「・・・でも俺は、お前が嫌いだと言ったもののほうが好きだよ。だって・・・」
眩しいほどに光り輝く太陽が地平線から顔を覗かせた。月の光が、少しずつ弱まっていく。
—『サヨナラ』
俺は、待ち続けるのは嫌いなんだ。
たとえ片方が、終わりを望むものだったとしても。
宵待草の花弁が、静かに萎んでいった—。
*(あとがき)
・・・という名の反省。というか謝罪。
え、えー、今回のお話は阿嘉狐さんからいただいたお題「花言葉」で書かせていただきました。
阿嘉狐さん、すみませんでしたあああ!!
こんな変なものになってすみません!!ご期待(してなかったでしょうけど)に添えなくてすみません!!!
とりあえず、こんな話になってしまったので・・・・。あ、男に関する質問は一切NGで。
阿嘉狐さんからなら受け付けますよ・・・ふふふ。←
えー以上、なんかいろいろとごめんなさいもうすでにお題募集した自分を殴りたい!!でもお題募集はやめないぜ☆(殴 な神無月がおおくりしました。