ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 第二話 ( No.11 )
日時: 2010/08/18 08:55
名前: 捺衣 (ID: m1/rt.pA)
参照: お知らせ:ミスが多いんですがよろしくお願いします

風がふいて草木を揺らす。
さっきと変わらぬ姿勢で小さく寝息をたてている彼女の足元に
僕は膝を折ってしゃがんだ。
また風が吹いた。
葉を巻き込んだ風は僕と彼女の髪をふわりと舞い上げ、池に波をつくり、空へ。
池に反射している夕日の、きれいなオレンジ色の光が、彼女の髪に映り揺らめいている。


その髪に思わず見とれていると、いきなり髪の主が目をパッと開いた。

 「わっ」

彼女は立ち上がって僕の目の前に銃口を向けた。

 「またお前か。何だ、何か用?」

 「え、いや、あー特に」

 「ならあっち行って」

彼女が銃を下ろし、またベンチに座りなおすがその際に氷、いやドライアイスくらいの冷たい眼で僕は睨まれた。
肩から鳥肌が起ち、一気に身体が冷えた。
しばらく腰を抜かしたままの格好で地面に手を付いていたが、立ち上がってなんとなく、本当になんとなく彼女の隣に座ろうとして近寄ったのだが、彼女はチラッと僕を見上げ、目線をおとし銃口を袖で磨き始めた。
座らせてくれないのかなぁと、しばらく彼女を見ていたが腰を浮かせどいてくれたので、隣に座った。

 「…ありがと」

 「いいえ」

日が暮れて、だんだんと子供たちのはしゃぎ声が日の光と共に消えてきた。
彼女が銃を膝の上に置いて「お前は…」と呟いた。

 「何か言った?」

突然顔を上げた彼女が、瞳を揺らして口を開いた。

 「お前は、私が…怖くないの?」

 「え・・・何で?」

 「皆、私を見ると逃げるんだけど…お前は何で逃げない」

彼女が空を仰ぎながら言う。
女の子となんか話する機会なんてなかったから妙に緊張する。

 「いや、だって助けてくれたしさ」

俯いた僕に「助けたつもりじゃない」と言う小さな声が隣から聞こえ、ちょっと肩を落とす。