ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re:  第一話 ( No.4 )
日時: 2010/08/13 13:14
名前: 捺衣 ◆77JNIlG8v6 (ID: 9wHf9u2B)

受け取ったボロボロの手帳の土を親指で擦る。

 「ごめん、途中落とした」

 「あ、大丈夫だよ全然っ」

手帳をポケットしまい、女の子に向き合おうと顔を上げるが彼女の左手に握られているものが気になって、つい目がいってしまう。
女の子は長い銃口で地面をトントンと叩いている。
僕は疑問を口にした。

 「あの・・・それ」

女の子の目をチラッと見てから銃に眼をやる。

 「突撃銃、アサルトライフルだ。これで奴らを殺す」

 「なっ、何で?」

 「はあ?」

 「何で殺すの、奴らってさっきの・・・あの、変な機械みたいなのでしょ。って、まぁ何か悪そうだったけど・・・」

 「あいつ等はイーヴルカース軍。しつこいんだ・・・毎晩毎晩・・・なんでこんな事話してるんだ私は。」

銃口を地面に強く打ち付けると歩き出した女の子は、再び闇に溶け込むように消えてしまった。

  *  *  *

真夏の朝は蒸し暑かった。
家から学校までは歩いて30分程ある。
道は川に沿ってまっすぐ続いていた。
ふと空を仰ぐと、太陽の日差しが眩しくて目を細めて見た。
風が吹くが、暑い。
暑い風が僕の背中をおして通り過ぎ、草花や木々を揺らして、川の水に波を作った。
その波に揺られ、新たな波を作り出してはまた新たな波。


学校に着くと<3-4>のプレートがかかったドアを開けて中に入った。
いつもどうり男子は中学生になっても今だヒーローごっこをしている、女子も向き合いお喋りだ。
僕はカバンを机の横におろし、椅子に腰掛けた。
カバンのファスナーを引っ張り、中に手を突っ込んで教科書を机の上に出していると。

 「おいオト」

聞き覚えのある嫌味な、学校一嫌いな奴の声に一瞬だけ顔をしかめるが、なんでもないというふうに振り返った。