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ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 第ニ話 ( No.8 )
- 日時: 2010/08/17 14:16
- 名前: 捺衣 ◆77JNIlG8v6 (ID: 51mnxWm4)
振り返ると、クラス一の暴れん坊スーラがいつもの4人を連れて僕を見下ろしていた。
僕が一言「何」と訊くとスーラは眉間にしわを寄せて、制服の内ポケットに手を突っ込んだ。
「おじいちゃんに貰ったんだぜ」
突っ込んでいた手を僕の目の前に持ってきたので、椅子を下げて遠ざけて見た。
その手には長方形の切符がしっかりと握られていた。
切符には<超特急リヴァセント号 シェイドイーヴニングサン駅〜ブリードメモリィ行き>ときれいに記されている。
「何?」
「いいだろ」
「僕あんまり興味ないからさ」
机に向き直ろうとする僕を、スーラの部下扱いされているライアンに肩をむんずと掴まれ無理矢理たたされた。
「そういう態度がムカつくんだよ!」
スーラが右の拳を振り上げた。
思わず目を塞ぐと、周りが騒がしくなり「先生が来た」と騒いでいた。
モザイクガラスの向こうに姿勢のいい影が教室に向かっているが見えた。
向き直ると、スーラが目を丸くして、自分の拳を見ると左の手で押さえ誰のと問わずに、悔しそうにガンガン叩いた。
それを見て僕は口だけで「ざまあみろ」動かした。
* * *
入道雲が山間から顔をのぞかせていた。
風に揺れている可憐で鮮やかな花に、夏の虫がとまった。
一日で一番静かだと思える時間は、この下校中だと、僕は思う。
目を閉じると、視界いっぱいに広がる緑と静かに流れる川が広がる森丘が見えてきた。
その中に元気な声が背後から響いた。
振り返ってみると、跳ねるように駆け寄ってくる人物がいた。
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