ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 第二話 ( No.9 )
- 日時: 2010/08/16 16:00
- 名前: 捺衣 (ID: 9wHf9u2B)
- 参照: お知らせ:トリップありませんが本人です ('U'●)
「テミー、久しぶり」
僕の友人、テミー・フォルセーバス。
テミーは、僕の前に立つと嬉しそうに笑った。
「お久しぶりです!」
本当に久しぶりに彼を眼にしたので、僕も嬉しくて笑い返した。
二人が歩いていくと、足元の雑草が揺れた。
テミーは歩いていながらもひたすら口を動かしていた。
クラスでの出来事、家族で旅行に行ったとか。
とにかく、テミーが話すことは全て楽しそうでこっちも自然と顔がほころんだ。
そして、テミーがこんな事を口にした。
「そういえば・・・いつだったかな、先週くらい前に
公園におかしな女の子がいたんですよ」
「へぇ、どんな?」
僕が先を促す。
「大きな声じゃ言えないんですけど...」
テミーが辺りをきょろきょろと見渡して、誰をいないのを確かめると、僕に顔を近づけて声を潜ませた。
「銃、持ってたんですよ」
銃?
煙のようにポンと頭に浮かぶ者があった。
「警察呼ぼうとは思ったんですが、俺警察とか何も知らないですし・・・放っておきました」
「え、放って置いたの?」
僕は目を丸くしてテミーを見ると、彼は頭を掻きながら頷いた。
別にあの銃を持った子が捕まるとかそういうのはどうでもいいんだけど、銃を持った女の子が一人で、そんでもって子供の集まる公園にいるのに通報しないっていうのは。
僕は空を仰いだ。
彼女は何故闘うのか———。
* * *
テミーと別れた後、公園へ向かった。
何故か歩く足は止まらず、ずっと同じ速度で歩いていた。
公園の前に着くと、僕は足を止めた。
公園の門には蔓が絡み付いていてまるで、招き入れるようでもあり入る者を阻むかの様だった。
木々がザワザワと葉を震わせた。
止めていた足を再び動かせ始めた。
もう5時を過ぎたにも関わらず、まだ子供が走り回ってはしゃいでいる。
林の中は日が当たらず、薄暗かったが代わりに涼しかった。
その先にオレンジ色に輝く池が見えた。
林を抜けると、今いる場所から池を挟んで反対側の日の当たらない木陰に彼女はいた。
銃口の長い銃を膝の上に置き、頭は下を向いている。
後ろで結んでいる髪は、肩に乗っていた。
寝ているのだろうか。
僕は1歩1歩ゆっくり近づいた。
起こさないようにではない。
彼女には近寄りがたい空気が漂っているから。