ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: そんな彼らの天獄転生 ( No.3 )
- 日時: 2010/08/12 11:27
- 名前: 月光 (ID: QuEgfe7r)
第一廻「聖罪裁判」
「あー君が、時魔クン?珍しい名前だからさ、覚えやすくていいよ。俺は閻魔だから」
…俺は今、あの閻魔とやらと向き合っていた。
思ったよりも、というか全く閻魔に見えない風貌、天然な好青年にしか見えない。
そういうものなのか?
俺にはよくわからないが、この『天獄』という世界もこの、閻魔が創ったらしい。
「ああ、獄色 時魔だ。貴方が閻魔様か…で、ここでは何をするんだ?」
「ここはまぁ言えば裁判所なんだけど、今やってるこれ、聖罪裁判っていう裁判ね。ま、俺の言う事にこたえてればいいだけだからさ、緊張しなくておっけー」
ヘラヘラしている。
閻魔って言うぐらいだから強いんだよな、なんか、俺でも倒せそうだ。
俺が、きっと閻魔にきくような言葉遣いしていないのに怒りもしないのか…
よくわからない人物だ。
「いやー時魔クン?最初の好青年っていうのはよかったよ、でも見くびっちゃいけないよーこれでも俺、一応閻魔だしね。ヘラヘラしてたり怒ったりしないのはアレだから、俺に敵わない相手だってことが分かったからさ」
なるほど、閻魔様は流石だな。
俺の心も読み取れるってわけだ、俺もそう馬鹿じゃないし敵うなんて本気で思う訳ない。
印象で言っただけだしな。
「貴方の敵わない相手が来るのか?」
「来るはずないでしょー」
即答か。
まぁ正論だ、閻魔だしな。
「・・んじゃーそろそろ本題ね、ここでは、ま。聖人か罪人かを分けるってだけなわけ。閻魔の仕事ってケッコー楽だから」
アハハ、と笑う、閻魔。
「聖人、と罪人…とは?」
「聖人っていうのは、天国寄りの人間のこと。天国にいける、生前悪いことしないで死んだ人だよ、ま。悪いことしないで死んだ人なんてはっきり言っている筈ないけどねー」
まぁ、あたりまえだ。
ということは罪人はその反対、地獄寄りの人間か。
言えば俺のことだな。
「罪人はわかったみたいだから説明はぶく。君の心よんだ結果、時魔クンは罪人…かな?生前何しちゃったわけ?」
こっちもいちいちきかなくてすむから楽でいいな。
「そうだな、聖人になれるわけもないし。俺は、なんだ、言えば…人殺し、、、」
そうだ、俺は人殺しだ。
「そう、人殺しちゃったのか。まぁそう少なくないよー、君ぐらいの年の子でもね。まー殺した人に会っちゃうってことあるかもだから、その時はその時で大変」
そうか、死んだんだもんな。
というか殺されたんだもんな、聖人か
「そう、だよな。死んだ人にもう一度会えるなんてある意味最高だな」
そんなこと言って俺、いいのか。
でも、皆に会えるんだ。
「じゃ、もういっちゃっていいよー。俺そろそろ次の仕事行かなきゃだし」
「ここの仕事は…」
「秘書がテキトーにやってくれるさ」
本当にテキトー屋な閻魔だな。