ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 激動 オリキャラ大募集! ( No.15 )
- 日時: 2010/08/16 06:09
- 名前: 黒猫 ◆tZ.06F0pSY (ID: 8I/v6BBu)
「………ようやく…、着きましたね…。」
荒野の果て、喜びの感情が混ざった声で、セツラは一人そう呟いた。彼女の目の前には、自分が一年前に閉じ込め立てていた施設と類似した形の建物がそびえ立っている。
…ここに自分が一年間荒野で探し求めていた「仲間」がいる。しかし、ZENOと言えど自分以外のZENOと会ったことの無い彼女は、少し照れくさかった。
———仲間を前に、何て言おうか。
「オハヨウ」と言うべきか、いやそれとも「初めまして」?嗚呼、何故かこう…緊張するというか、恥ずかしいというか…。
彼女は逸る気持ちを抑えながら、建物の入り口を———豪快にも腕をバズーカに組換え粉々に破壊した。
こういうのは、中に誰かが侵入できないように頑丈な造りになっている。ZENOという危険な機械が中にいるのだから、なおさらそうなる。
セツラも、自分が入口から出るのに苦労した。最終的に、今の様に腕を変形させ、バズーカでドアを吹き飛ばしたのだが…目覚めたばかりで力の調節ができず、施設もろとも吹き飛ばしてしまった。建設者に心の中で謝りつつ、彼女は抜け出したのだが、まだ少し建物を跡形もなく消し飛ばしてしまった事に対して罪悪感を覚えていた。
ZENOが兵器の中で恐れられているのは、体の至る部分を何らかの武器、兵器に変形させる事が出来る事だ。しかも、人工知能が高い為、時や場合によって対応したものに組み替える事が可能だ。銃やバズーカの弾といったものはAチップが何度も造りだすので、永遠に撃つ事が出来る。
———こういう時は便利な体であると思う。
彼女は頬をパシパシ叩きながら、気を引き締めながら建物の中に入って行った。
———、
建物内に侵入したセツラは、まず明かりの確保のため施設のシステムを起動させた。すると、順番に建物内に明かりが灯りはじめた。
「視界良好、捜索も楽に終わりそうですね。」
しかし———セツラは、自分がいた施設とは、建物の造りが新しいという事に気が付いた。つまりそれは、ここに眠っている仲間は割と新しい機体…という事。まぁ良くも悪くも破壊されていない事を願うまでだ。
彼女はそう言いながら、地下への階段を探した。自分も、地下に管理されていたので——おそらく此処にいる仲間も地下にいる筈だ。
セツラは確信して地下の階段を探すのだが———背後に忍びよる何者かの気配には気が付かなかった。
*
彼女の背を見つめながら、その人物は手に握っているものを持つ力を強めた。そして、ゆっくりと慎重に近づいて行く。
———此処で奴を仕留める。正確でより確実に。
そして、一瞬の隙を窺い、その人物は侵入者であるセツラに、手に持つ物を振り下ろした。
…が、その瞬間その人物の視界がグラリと歪んだ。
『…え————————』
一瞬何が起こったか理解できなかったが、自分が地面に倒れ伏した地点でようやく理解する事が出来た。自分が手に持つ物を振り下ろした刹那————目の前の彼女は瞬間的に振り返り、自分の横頭に鋭いチョップを打ち込んだのだと。
「うう…」
そしてその人物は、そのまま脳震盪を起こし気を失ってしまった。
「………。」
彼女は、襲撃者の姿を見て少し驚きを隠せなかった。自分が、“気が付いていないフリ”をして相手に自分をわざと襲わせ、逆にカウンターを繰り出したのだが————…
「…私とした事が———大人げない事をしてしまいましたね…。」
そので倒れ伏しているのは、まだ十歳くらいの幼女だった。手には太めの木の枝が握られている。カウンターの瞬間それに気が付き、力を弱めたものの、やはり脳震盪を起こして気を失ってしまったようだ。
「…悪い事をしました…。」
しかし、何故ここに子供が?迷い込んだか、それとも“METROPOLIS”に逃げられれず、ずっとここに?しかしそれなら食料が無いし…。————うーん、不明ですね…。
…とりあえず———この子供どうしましょうか…?このままにしていく訳にもいかないでしょうし……。
そして考え抜いた結果、こうなったのも自分のせいでもあるので、背負って連れて行く事にした。