ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 激動 ( No.31 )
- 日時: 2010/08/24 14:06
- 名前: 黒猫 ◆tZ.06F0pSY (ID: 8I/v6BBu)
ゴウンゴウンと、空には戦闘機が行き交い、地上には大きな戦車が進行していた。私はそれをしかめっ面でキッと睨みながら、軽く溜息をついた。
機械と人が戦闘を始めたのは、何時だったか最早覚えてはいない。幼い時から「機械は危険だ」「絶対に近づいてはならない」なんて言われて…、そして気か付けば“MBA”という軍隊が国をめぐり機械と戦争を勃発させていた。そのおかげで私たちは命を守られている訳だけど、何か納得がいかない、納得いく訳がない。
戦争なんて、大嫌い。音はうるさいし、敵も味方も殺しあって…死ななくてよかった人も、間接的に傷つけられる、殺させる。
——本当にこんなので国を、世界を機械から奪還していいものなの?そんなの間違ってる、もっと違うやり方があるはずじゃない!でも…その“違うやり方”が何なのか、私には分らない…。ただの我儘という事は分ってるよ。でも、こんなんじゃ、こんなのじゃあ————…
「あーもうっ、嫌いっ!何なのよ、戦争戦争って!バッカじゃないの!?」
私はそこで考えるのを止め、その鬱憤を吐き出すようにそう叫んだ。
考えるのも馬鹿馬鹿しい、何が戦争よ、何が人間は勝つよ!機械が悪?そんなの知った事じゃないわ、私が言いたいのは、そう言う事じゃない!だけど、それを現す言葉が見つからない。むしゃくしゃする。
「もう戦争も機械もMBAも全部全部嫌い!戦争なんか起こすから、起こすから私の———ッ…」
ポタッ
と、言いかけた時、いつの間にか溜まっていた涙が頬を伝い、地面に落ちた。それを期に、涙は次から次へとあふれかえっている。
——そう、戦争なんか起こすから、親を、兄弟を、友達を、皆を…失う人がいる。私なんか自分以外の家族は死んじゃったもの、戦争のせいでね。
———第一戦目の奪還戦は酷かった。一般市民も巻き込んで、滅茶苦茶な戦争を行ったのだから。
*
母親は、幼かった私を抱きかかえて逃げていた。父親は1戦目だけで行われた“徴兵”で最前線の戦場へ送り出され、そのまま戦死した。一家の大黒柱を失った私たち一家は、生きる事だけを一心に逃げ回った。しかし、当時12歳だった兄は、疲れきって足を止めた際に、流れ弾に当たった。弟は私たちとはぐれ、誤って戦地に出て地雷を踏んだ。無論、私の兄弟はその時死んだ。残るは、私と母親だけ。
「うぅっ…、お母さん…お父さんも、おにいちゃんも、みんないないよう…、しんじゃったの…?いや