ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: こちら花野文房具店! ( No.11 )
日時: 2010/08/15 17:08
名前: お饅頭 ◆1xhivJXBvU (ID: itTFRLr7)
参照: 元・美華ですがなにか?((

—ここは大日本帝国。
もともとの和の文化に西洋の文化をとりいれ、
混沌とした独自の文化を作り上げた国。

そして軍などの強化によりアジア最強と謳われている。
他国との争いは減ったものの、内争は少々増えた。

そして———私たちはその危険のなかで活動している。



第一章 +盗まれた宝石+




「おわったぁー…」

向日葵のエプロンを脱ぎ、その姿には似合わない大きなイスにどっかりと座る。
彼女は花野亜理沙。大日本帝国の首都東京シティ花野文房具店店長(?)をやっている。

だが、彼女が座っている部屋はどう見てもここは文房具屋のものではない。
しかも場所は尋常ではない広さの地下の一室。

そう、この地下に限っては文房具屋ではないのだ。
ここは“本業”のために作られたもの。
一般は触れることのできない物も“依頼”も存在する。

コンコン、と部屋のドアが叩かる。
亜理沙が「どうぞ」と言うとガチャ…っとドアが開かれ、男性…と思わせるような女性が入ってきた。

「亜理沙、終わったの?」

彼女は朱嵐李兎。
この裏なんでも屋“ひまわり堂”の(一応)頭首を(一応)慕っている。

「あー、ちょっと待ってくれ、着替えるから」
「…手伝おうか?」
「オイ」
「あはは、嘘嘘」
「ったく」


*


長い廊下をコツコツと二人が歩く。

「今日依頼があるって前々から言ったのに、なんでそう遅いの?」
「いやいつもよりは少し早目に切り上げただろー」
「嘘だね。直仁あたりに任せちゃおうと思ったのに亜理沙がやるっていったんだよ?」
「いや、さすがにこの前もやらせちゃったし。これ以上やったらたぶんあいつ廃人になるなと思って」
「もう廃人じゃないの?ある意味」

さらっと酷いことをいう李兎に、亜理沙は「お前はそれ無意識なのか?」と、疑いのまなざしを向ける。

「え?なんのこと?」
「…いや、いい」

ケロッとしている李兎を見て、亜理沙は問い詰めるのをあきらめ依頼人のいる客室のドアノブに手をかける。

少々乱暴な開け方になるのは亜理沙の癖だ。

「ども」
「こんにちは」

二人が挨拶をすると、依頼人も少し戸惑いながら「こ、こんにちは」と返した。
中には依頼人以外にも一人、さっきの話にでてきた直仁———萩原直仁がそこにいた。

「二人ともちょっと遅いよ。李兎なんか私にいきなり依頼人押しつけて…人使いが少し荒くないかい?」
「え?ちょっとまって。直仁はさっきまで私と一緒に働いてたのに早くないか…?」
「それは嬢が遅いだけだと思うな」

ズバッと言われ、「うっ…」と亜理沙は唸った。

「まぁ、亜理沙が仕事終わった後だらけるのはいつもの事だし、とりあえず話聞こう?」
「話を聞かなきゃなにも始まらないしね」
「ちょっと待てよ二人とも!」
「はいはい後でねー」

亜理沙は少し納得がいかなかったが、依頼人が少しおどおどしているのを見ておとなしく椅子に座り、話を聞きはじめた。
今回の依頼人は…まだ、12歳くらいの少女だった。

「で、今回の依頼は?お前みたいなのが来るってことは親とか関係してんのか?」
「はい…実は…」

彼女は少しビクビクしながらも、今回の依頼について話はじめた。

「家の秘宝の宝石が…何者かの襲撃のときに盗まれたんです…」





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