ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: こちら花野文房具店! ( No.12 )
日時: 2010/08/15 17:06
名前: お饅頭 ◆1xhivJXBvU (ID: itTFRLr7)
参照: 元・美華ですがなにか?((




「…襲撃?」

亜理沙は盗まれた宝石の前にまず、原因の襲撃から話を聞くことにする。

「はい。家は宝石商をやってます。一応この国はもちろん、外国でも少し名の知れた店です。うちも警備はしっかりしている方だったのですっかり油断をしたと、父が言っていました…」
「へぇ…。警備は役に立たなかったのか?」
「いえ、警備の方にスパイがいたんです」
「…李兎、大丈夫か?」
「ちゃんと追いついてるから安心して」

亜理沙の隣の李兎は、亜里沙と依頼人の話している内容をこまめにチェックし、メモしていく。

「でもなんでその宝石屋は襲撃されたんだ?家に依頼するってことは…あれだろ?」
「はい。家は宝石もそうなんですが、裏で…その、毒薬というものを作ってました…」

—こんな小さい子が知ってて…しかも依頼をさせるなんてなんて残酷な…

亜里沙は少し表情を歪めそうになったが、今は集中して話を聞くことにする。

「じゃあ、それでここに。そりゃ警察にばれちゃ少し危ないしなぁ…」

このなんでも屋…ひまわり堂ではこういう警察に依頼できないものもしっかりと取り扱い、
なおかつ秘密等はきちんと厳守するのだ。
おかげでそっち方面のでの信頼は厚い。

「気になってたんだけど、君の親はどうしたんだい?」
「襲撃のときに撃たれて、今は病院です…」
「そ、それって大丈夫なのか!?」

直仁の質問に答えた依頼人に、
亜里沙は思わず声を張り上げてしまう。

「…亜理沙、依頼人が怖がってるから落ち着いて」
「やべっ…ごめんな?」
「いっいえいえ!父も母も大丈夫です!二人とも足を被弾しただけだったので命に別条はなくて…」

少女はそう言ってクスッと笑う。

「…亜理沙、今なんか変顔とかした?」

怪訝な顔で見つめる李兎に、「なんでそうなるんだよ!!」と、亜理沙はつっこみを入れる。

「いや、違うんです…。私、このなんでも屋さん…ひまわり堂って、もっと怖いイメージがあったんです。でもなんだか全然違くって、頭首の方もすごい優しい人だし…」
「そ、そうか?ま、それほどでもある!」
「あー亜理沙そんなこといって照れてるね?顔真っ赤ー」

ニヤニヤしながら言ってくる李兎に、亜理沙は「うるせー!」と、顔を真っ赤にして叫んだ。

「まぁ、とりあえずもう少し情報を教えてもらえるかな?」
「あ、はいっ」

直仁はそんな二人を半分スルーし、話を続けた。


*


「そういえば結局直仁も巻き込んじゃったし、意味なかったな。俺が引き受けた」
「そうだねー、あははっ」

能天気に笑う李兎に、「…君、もともと私を巻き込むつもりだったね?」と、直仁は呆れ顔で言った。

「…んで、いつから始める?」
「行動は明日から。だからあしたまでに李兎は情報収集よろしく」
「らじゃー」
「直仁は商品の在庫チェックした後情報収集よろしく!」
「はいはい。結局もうやらせる気満々なんだね、嬢は…」
「もちろん!かかわっちゃったんだからね!
あ、だからちゃんとシフト他の人に代わってもらいなよ?ついでに私の分もよろしく!」
「……はぁ」

こうして、すべては明日に持ち込まれることとなった…

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