ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 生真面目探偵と道楽科学者 ( No.1 )
- 日時: 2010/08/15 10:06
- 名前: 白柊 ◆aUgcx1Sc9Q (ID: COldU63y)
- 参照: http://吹奏楽部所属です♪ お話できる方は気軽にどうぞ^^
†プロローグ
「後、1ピース……」
暗い部屋だった。
全てを消し去ってしまうかの様な深い深い漆黒の暗い部屋だった。
そんな部屋から、1人の少女の声がしている。
暗い漆黒の中でもその声だけは消し去られていない、そんな声だ。
「1ピースよ……後1ピースでパズルが完成する!」
少女の声は興奮と期待に満ちた暗闇では不似合いな声色だった。
そして部屋の中央に居るらしい少女の影は嬉しそうに手を伸ばし歓喜に満ちている。
言葉からしてパズルが完成する間近らしい。しかし何が嬉しいのかは全く分からない。
「これで終わるわ……私を縛っていた〝呪い〟が!!」
歓喜と同時に狂気も混じっているかの様な声を出す。
そして少女の影は立ち上がり、狂った様に笑っていた。
1回笑い出すと笑っている自分さえおかしくなるとでも言う風に奇妙な程笑っている。
釈放される罪人かの様に。封印から解き放たれた魔物の様に。
笑って、いた。
「はははははっ! あーっはっはっはっ! 早く……早く次の〝ピース〟を造ってやるわ!!」
暗闇の中で不気味な少女の笑い声が響く。何とも奇妙な光景であった。
しかし少女は自分が狂っているともおかしいとも思わ無いのか、まだ笑っている。
近くに人が居ればその人はどれだけ怯え、少女を恐れるであろうか分からないくらいだ。
そして一旦笑うのが止まったかと思うと、鼻歌混じりに突然歩き出す。
場所はかろうじて見えた、部屋にある扉だ。
暗闇の中の為色などは良く見えないが唯一分かるのは其処に扉がある事。
そしてその扉には髑髏や骸骨の様な物がぶらさがっており、とても不気味である事だった。
少女の影は扉へと向かうとその扉に手をかける。
鍵はかかってないらしく、あっさりと扉が開いた。
少女は今度は静かに「クスクスクス……」と笑い声を溢すと扉の中へと入り闇に消え、見えなくなる。
それでも尚、笑い声は聞える。
不気味な光景であった。
†プロローグ 終