ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: モザイク —心壊兄弟と×××— ( No.18 )
- 日時: 2010/08/22 20:40
- 名前: 出雲 (ID: QuEgfe7r)
《5》
—多分と呟いてみる—
要が立ち上がる。
「大丈夫ですか?」
本日二度目の呼びかけに彼女は無言で腰を低くした。
「?」
いかにも大丈夫じゃない動作な気がするんですけど、ということで俺が本日三度目の大丈夫を言おうとしたその時。
「ん」
ん?
腰をかがめた彼女は自分の背中を指さして、おんぶするような動作をエアーでやって見せた。
なんだ、乗れってか?
「いいですよ、大丈夫ですから!」
いや、そんなに俺ひどいのかな。
まぁ殴られたけども、本日三度目は自分の事に使ったなーというかこんな子が持ち上げれるわけもないし。
「んー」
子供か。
少しの間ずっとそこで同じポーズを披露していた要 いつかさんは、んーんー言いながらもやっと歩き出してくれましたとさ。
「あの、要さん」
俺が少し彼女の後ろを歩きながらぎこちない話し方で会話を試みる。
君とは仲良くなれる気がするんだ、同じ感じがする、曖昧な言葉だけどね、多分さ。
「いつか」
「 」
「いつかでいい」
彼女と俺の会話は成立、はしてないけど少し近くなった気がする。
あ。歩きながら俺と彼女の間は広がってくんだけどさ、俺遅いのかな?
「はい」
とりあえず返事。
「それと」
「いつもそんなしゃべり方じゃないよ」
お?
不登校の君が?俺を?
よくしってますねーそうですよー家では、後独り言とか。
というかなんで、要が、じゃないや。
いつかが知ってるんだろ。
「そ、ですね。本当は、ですけど」
どっちが本当の自分か分からないんだよ、多分。
「なんで?」
「特に、理由はありませんよ」
嘘だと思う、多分。
「いいよ、いつもで」
いつも、って言ってもいつもじゃないけど。
確かに楽な気がしないでもありません、あれ?
いつかが話しかけてくれるようになった。
嬉しー、俺に初めて友達ができたよーやったね。
兄貴に伝えないと。
「ありがと」
笑ってみた。
心の底から笑ってる、つもりではあるけどね。
笑えてるかな?
うん?
「ハル」
「なに?」
「笑えてないよー」
あれれー。
笑えてないってさ、でもハルって呼んでくれましたーというか知ってたのか俺のこと。
ま、話し方まで知ってたんだもんなー。
—それは俺です、多分—