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ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: モザイク ( No.36 )
- 日時: 2010/08/30 14:30
- 名前: 出雲 (ID: 3ePGpESz)
《7》
—その家族には男の三人兄弟がいました—
「 」
ドアが開いたのに気付いたのか俯いていた顔を上げる兄貴。
「あ、兄貴?」
そのやはり兄というにはらしからぬ姿に首を捻りながら俺は聞いた。
すると、沈黙。
「____遅い」
兄貴のロボットのような声が俺の耳に少し遅れて入ってきて少し後の言葉に期待してみた。
「 」
でも結局その後は何も言わず俺のことを見上げてるだけで、なんか恥ずかしくなった。
『____遅い、バカバカ!!』
なんてツンデレな言葉、うちの兄貴は言いません。
「ごめん」
謝ると兄貴は何の反応も見せなかった。
怒ってるのか、なんなのか分からないけどこんなこと初めてだ。
よほどお腹がすいてたのか?
「お昼、後でもう一回いってくるから」
なんで買ってこなかったのか、なんてことを聞いてくる筈もなく兄貴は頷いていつもより少し足早に(といっても俺が歩くのと同じくらいの速さなんだけど)立ち上がりリビングへ入って行った。
兄貴がそこから立ち去ると後ろから
「今のお兄ちゃんだ」
そう、いつかが声をかけた。
「うん」
相槌をうつ。
「とりあえず俺の部屋行こうか」
靴を脱ぐといつかはうんと返事をしてすぐに
「あ、おてて洗いましょうねー」
そんなことをいいながら俺のてを引っ張った。
偉い、いつかは。
あ、そういえばなんで兄貴はリビング行ったんだろ。
—賢い長男と優しくやんちゃな二男、そして—
—俺—
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