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ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: モザイク ( No.38 )
- 日時: 2010/09/07 17:43
- 名前: 出雲 (ID: 3ePGpESz)
《8》
—三兄弟は仲がとてもよかったです、どんなときも一緒に—
「お兄ちゃんあんましゃべんないの?」
いつかがバシャバシャと音を立てながら手を洗っている。
「ん、まぁ」
あやふやな答えを返すといつかは、ふーんと一言言って蛇口をひねって止めた。
蛇口をひねって自分も手を洗う事にする、手の擦り傷がしみて思いのほか顔がゆがんだ。
「っ」
…殴られて帰ってくるなんて、ださ。
「ハルのお部屋どこ?」
拭いていない濡れた手で俺の手を引っ張る。
痛。
多分。
「こっち」
いつかみたいな答えを出すと彼女を引っ張って自分の部屋へ向かう。
あ、やばい!部屋超汚い!!
なんてことはない、部屋を使う事すらないから。
自分の部屋という名前のついた寝室。
「わー、ハル笑ってないー」
今笑うとこあったか?
というか笑ってないのか、知ってるけど言われると心配になる。
俺、笑えないのかって。
多分だけど。
「そっか、いつかはいつも笑ってるね」
「うんっ」
元気な返事が返ってきた。
似合わない、ぼさぼさな髪をした不登校美少女は本当に。
なんで不登校なんだろうね、君は。
なんで、いつかは殺しちゃったんだろうね。
多分。
多分、まだ誰も知らない。
—どんなに辛い家の中でも助け合って生きていました—
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