ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: モザイク ( No.7 )
日時: 2010/08/20 10:33
名前: 出雲 (ID: QuEgfe7r)

《3》



—奇声をあげて、狂いながら—


こんなときに知り合いと合ってしまうなんて、最悪だ。
そんなこと思わないけど。

彼女からすれば僕に言っているような言葉だ。
彼女は学校に来てないんだから。


不登校だから—


でも、今は多分違うんだと思う。

「ああ」
小さく小さく呟いてから俺は財布をジーパンのポケットに入れて、言い訳がましいことを考える。

そうしないと、コンビニに入れないだろ?

家で可愛い兄貴がまってんだから、、、多分。


「すいません」


ヒーロー気取りなんかじゃない。
目の前で知り合いが、それも滅多に会う事もない、1年ぶりに合った美少女が不良に絡まれてて、放っておくわけがない。

なんてこと、本当に思えているかは分からないけど。

「邪魔なのでどいてもらえますか?」

ああ、怖い。

痛いかもなぁ、あ。
お金取られるかもしれない、無理やり奪われるぐらいなら快く渡すけど。

『あン?』

『なんだテメー』

こんなに不良っぽい不良ってまだいるのか。
田舎だしな。

「それと」

間を開けて俺はもう一言付け加える。
本当はこっちが本命だけど、なんか気持ち悪いな。


「その女の子離してもらえます?」


そう言うとその、要いつかはゆっくり振り返った。
無表情だった彼女の顔が少し何故だか明るくなって、でも目に入るのは乱れたパジャマだったけど。

『なんだァ、コイツ?』
そりゃそうだ。
滅多にこんな事言う奴いないさ。

不良にはいわれたくないけど。

『この譲ちゃんの彼氏かなんかか?』
彼氏?
…かなんかってなんだよ。


「ただのクラスメイトです」
真面目に答えてから、少し前に出る。

すると不良は少し笑ってから
『はっ、喧嘩うってんのかオラ』

なんで笑う?

「別にうってませんけど、邪魔だから邪魔っていっただけですよ」

なんか自分、ウザくないか?
俺は分からないけど、多分。

『おい、コイツやっちまおうゼ』

『気取ってやンの!』

『痛い目あいたいのかなー坊っちゃんはよォ』

あ、ちなみに不良さんは三人でした。

でも、タバコとか吸ってる以外は別に普通の人、全然怖くないような、気もしないでもない。

不良はこぶしを握った。

「      」
殴るのか?

まぁ、アレに比べれば何も痛くないんだけど。

血さえでなきゃいいなぁ…


『泣いちゃうかもなァ!!』
なんて優しいこといいながら、不良は殴った。

俺の顔を。

「っ」

流石に反動はあったけど、久しぶりに殴られた。
昔は日常茶番時だったものが。

トラウマがでてきそうで怖い。

今更—

殴られた、蹴られた。
でも不良の攻撃は優しいもんで、全部素手だった。

いつ終わるのかなぁ、なんて思いながら反撃するわけでなく、ただただ俺はやられ続けた。

一応睨んでたのかもしれない。

「       」

でも、そのとき。

俺は顔を殴られて、その鼻血をだしてしまって。






『ああああああああああああああああああああ!!!!』





後ろから、奇声が、悲鳴が耳に入った。

「あ」の羅列に不良はビックリして振り返る、もちろん声の主は—

要 いつかだった。


それに驚いてか、なんだか不良は急いではしって逃げてった。

お金、用意してたのに。

『俺の金でよかったらどうぞ』
そう言う筈だったけど、まぁよかった。


—彼女は叫ぶから—