ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 白夜のトワイライト うおっ!参照1000いきました!w ( No.126 )
日時: 2010/09/20 00:12
名前: 遮犬 (ID: cLZL9WsW)

白夜は静かに目の前にそびえ立つ白い城を見上げた。


(俺に…俺に、レトを裁く資格があるのか?)白夜は唇をギュッと強く噛み締める。


なんて話せばいいのだろう。そんなことよりも謝らないとならないのか、いやそんなことをしても無駄だ。


そうは分かっていても白夜はどうすることも出来ない。自分はレトの全てを奪ったも同然なのだから。

たった一人の姉を、この俺が、殺したのも同然だから。


白夜が思いながら手を握り締めていた時、上空から何かが落ちてくる。いや、こちらに激突してくる。


「っ!」白夜は持ち前の反射神経で上空からの何かをかわす。


何かが落ちた後の地面はひどくえぐれており、龍のどくろを巻いているかのようだった。


「この力は…」ゆっくりと上空から降りてくる少年。オレンジ色の髪をなびかせながら


「久しぶりだね…白夜」不敵に笑う少年。だがその目には憎しみ、殺気しか込められていなかった。


「…レト…」


「どうしたの? 白夜。そんな怖い顔して」レトはゆっくりと白夜に近づいていく。


「俺は…俺は…レト、お前を裁く」


白夜は二つの剣を逆手持ちで持つと、大きな羽状となった。

レトは白夜に近づくのをやめ、こう告げた。


「裁くのは俺のほうだ、白夜。お前には罪がある…俺と姉さんを裏切りやがって…!」

憎しみの声がレトの体を震えさせる。そして赤い瞳を白夜に向けてレトは続けて言い放つ。


「お前は生きてはならない! 生きてはならない罰を背負ってるんだよっ! 白夜ぁあああ!!」


レトは大きな斬馬刀を振るい、白夜の元へ一瞬で行く。


「くっ!」レトは斬馬刀で何度も白夜に向けて振るう。それを白夜は双剣で全て受け止めていく。


「肉弾戦だと勝てると思ったか?」白夜はそう言い放って双剣同士を合体させる。


すると両端に剣のついたダブルブレードが出来た。その両剣で白夜は押し返していく。


「…一筋縄ではいかないというのはわかっている。なら…能力で勝負だ…!」

レトは白夜から離れて右手を差し伸ばす。すると渦のようなものが右手を覆っていく。


「俺の力は螺旋…知ってるよなぁ? 白夜っ!!」レトは大きく右手を白夜に向けて押す。


凄まじいほどの回転力のかかった真空波が白夜に向けて飛ばされる。


「闇は全てを吸い込む…引力を持つ」


左手の大きな闇の宿ったものでその螺旋を纏った真空波は闇の中へ引きずり込まれていった。


「そっくりそのままお前に返してやろう」白夜はもう一度闇を発動させる。


「リジェクト(受け入れない)」


闇の中から先ほどの螺旋の真空波が出てくる。それはレトの方向へ向けて発射された。


あっさりとレトは螺旋を螺旋で受け止める。だがその一瞬の隙に白夜は右手を振り落としていた。


光熱の爆発がレトに降り注ぐ。まともに喰らっているならば、即死といった攻撃だった。


だが、レトは生きていた。螺旋の力によって爆発を全て横へ逃がしたために全くダメージは喰らっていない


「螺旋の回転力を応用した防御か…」

つまりレトに攻撃を与えるためには螺旋の力の働いていない場所を狙うしかない。


普通の真正面の攻撃は封じられたというわけである。


「螺旋の力はこんなものじゃない…」レトの背中、手、足の先端を覆う螺旋。


「さぁ…肉弾戦といこうか?」レトが猛スピードで白夜に近づき、螺旋の力のついた腕を振るう。

咄嗟に白夜は闇のこもった腕でガードしようとするが


「ぐぁぁっ!」


「無駄だよ。これは真空波でもなんでもない、打撃なんだから」


レトの螺旋の腕が白夜の左肩にめり込む。螺旋によってチェンソーのように切り刻まれそうになる。

闇は能力を取り込み、吐き出すことが出来るが、打撃はそうはいかない。

レトの攻撃は能力を打撃として発動しているため、闇では吸収されない、"螺旋の真空波の打撃"。


白夜は咄嗟に右手で近距離爆発を起こし、距離を取ったが


「はぁ…はぁ…」左肩から滴る血。白夜の左肩はもう使えない状態にまでなっていた。


「所詮体は子供。運動能力も…今じゃ昔と逆転だなぁ? 白夜!」レトは白夜にもう一度近づいていく。


もうダブルブレードは使えない。引力を生かした爆発も出来ない状態。


自分は死ぬのだろうか、ふとそう考えた。

なぜ自分はここにいるのだろうか、白夜は迫り来るレトの姿を見て思う。


あぁ、そうか…自分は罰を受けなければならないのだ。

今目の前で自分を殺そうとしている者の全てを自分が奪ったのだ。



もう、いいかな。君を探すことにも、疲れたのかもしれない——


「終わりだ…白夜ぁあっ!」


——もう、いいんだ。自分は、許されたんだ。これで、いいんだ。



「——よくねぇだろっ! バカ野郎っ!!」


「っ! …お前は…!?」

白夜の目の前には包帯で腹をグルグルに巻かれた優輝の姿があった。


「借りを返しにきたぜ? この…クソガキッ!」