ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re.白夜のトワイライト オリキャラ募集中 ( No.13 )
日時: 2010/08/24 01:11
名前: 遮犬 (ID: hsrPOuX9)

今はもう使われてはいなさそうな廃工場。独特の雰囲気を醸し出す薄暗い闇の中に少年はいた。
その少年の格好は武装をしており、胸のあたりに『武装警察』と書かれてるマークがある。
手袋をはめ、靴は安全靴のようなおそらく鉄で出来ているものを履いており、何より気になるのが


腰にある長く、少々分厚い長刀だった。その刀が少年を勇ましい警察官のように彩っていた。


第1話:始まりの鎮魂歌

「こちら、第3部隊。日上、聞こえるか?」日上と呼ばれたその少年の腰あたりからこの声が聞こえる。


「あーはいはい。現在目標地点より500m付近。どうぞ」この少年は日上 優輝(ひがみ ゆうき)。

武装警察とは現実世界の警察とは違い、警察は警察でもエデンの警察である。
基本エデンで賭けなど本気で人を殺したりすることは表向きでは禁止されているために存在している。
だがしかし、武装警察は普通に人を殺してもいいという許可が政府から降りている。


ただそれは悪人のみ、正義を貫きとおすという大儀を掲げた組織だ。

優輝もまたエデンの警察、武装警察の一人だった。


「上官に対してその口の聞き方は…「あぁ、それはもう何度も聞き飽きたよ…おっと」

優輝は壁際に隠れ、目標のいる場所を睨みつける。



「…現在、目標が動き始めた。もう突入してもいいか?」

「いや、まだだ。そこはこれまでで一番危険な場所だ。他に増援がくるまで——っオイ!日上!」


優輝は思い切りよく目標に向かって走り出した。400…300…200…100…!!



凄まじい勢いで近づいていき、目標の場所にある扉を開けた。


「武装警察だっ!大人しくしろっ!って…あれ?」


その場には誰もいなかった。いや、見えなかったというべきだった。


「っ!?「お前、ずっと見張ってたの…バレてるんだよ」


(後ろに…回りこまれた?)


「フンッ!」相手の打撃が優輝に伝わり、ぶっ飛ばされる。


「ぐぁっ…!!」打った腰を擦りながら立ち上がる。だが相手はもう自分の前にいた。

「うぁっ!あぶねっ!」なんとかかわして横へと転がる。


「…お前、コードは?」口に盗賊みたいなマスクをつけた男が聞いてくる。

「俺?別に大した名前じゃない。てかまずお前から名乗れ」すると男は素直に答えた。

「知ってるだろ?俺は『黒獅子』だ」その男が満足そうに言うのに優輝が大いに笑った。


「…何がおかしい?」

「いやぁ…お前みたいなやつが、黒獅子なわけないだろ。嘘もほどほどにしろって」

「てめぇ…!!」自ら黒獅子と名乗る男は優輝に向かって襲い掛かってきた。


「残念だけど、そんなのにやられる俺じゃないよ」優輝は動くこともなく、長剣を抜き出した。


その瞬間、優輝は男を真っ二つに切り裂いていた。


「あぁ、そうそう。俺のコードは『神斬』よろしくな」刀身を空中で振るい、血を振り払い、収める。


「上官。こんな偽者一人で倒せましたよ?どうぞ」優輝がトランシーバーに向けて声を放つ。


「バカ野郎っ!敵は一人じゃねぇよ!この若造が!」上官の怒声が優輝の耳にほとばしる。


「えっ——」気づいた時にはもう遅かった。周りには他にも大勢のアバターがいた。


「よぉ…若造。一人で入ってきて正義感強くて感心するねぇ…?」

(これは…ちょっと予想外だな…。10人以上いやがる…)優輝にとってとんだ計算違いだった。

(この中に黒獅子は…いない…か。やっぱり嘘の情報…)その瞬間刃物が振ってきた。


「くっ!」受け止め、返すが他のアバターが襲ってくる。

「やばいな…これっ!」必死で応戦するが量が量だ。いくら腕に自信があってもこれはさすがにキツい。


「オラァッ!」敵の刃物が優輝の肩辺りに刺さる。飛び散った血と共に声を出して後ろに下がる。

「ぐぁっ…!クソッ!」逃げる…のも手の一つだがこの数だ。逃げ切れないだろう。



「俺はここで死なねぇよ…。いや、死ねない。黒獅子を倒すまではなぁっ!!」


優輝は刀を上に振りかぶり、刀身に光る光と共に振り落とす。



「俺の…渾身の一撃ぃいっ!!」凄まじい斬撃がうねりをあげて大勢の敵の中に飲み込まれていく。



「これは…っ!避けろっ!!」敵は避けようとするも、何人かは飲み込まれ、切り刻まれていった。


「はぁ…はぁ…まだ…こんなにいんのかよ…」避けたもののほうが多く、まだ6名ほど残っていた。

それもそのはず。ここはとてつもなく暗く、前に誰がいるのかさえ慣れないとわからない。
そのあまり見えない状態で大勢いるであろう場所に斬撃を送ったのだ。一種の賭けのようなものだった。


「残念だったな…一人で飛び込んでくる威勢だけだったがな!死ねぇえええ!!」


(俺…死ぬのか…?いやいや、だから死ねないんだって…でも…ダメだ…避けられねぇわ…)


「うごっ!」優輝を殺そうとしていた男が突然目の前で倒れ始めた。男の下には血の水たまりが出来ている


(何が…起こったんだ…?)優輝が後ろを振り返ると小さな綺麗な顔をした子供らしき男の子がいた。

「誰だてめぇはっ!」敵の残党が吼え始める。そんなことはどうだっていい。それより…


あの子供が打ってきたのは銃。ここからの距離は結構遠い。さらにとてつもなく暗い——


なのになんであの子供は見えたんだ?目がいい…だけでは見えないはずだった。


「相手をしてやろう…まとめてかかってこい」子供がいった。

「ぶ…ぶ…!ぶっ殺せぇええ!!!」子供になめてかかられたのが相当腹に立ったのだろう。


だが数分でそこにいた全員その子供の餌食となっていた。


「お前…何者だ?」自分が状態が悪かったとはいえ、てこずった相手を数分の内で倒した子供に興味が沸く


「…名乗る時はまず自分からだろう。それに…肩からの出血がひどい。早く止めないとお前、死ぬぞ」


確かに肩からの出血はひどかった。だがそれよりも気になる。この子供のことが。

「…俺のケガのことはどうでもいい。俺のアバターコードは神斬だ。お前は?」そして子供は静かに呟いた


「俺のアバターコードは…白夜光。…ここに黒獅子がいるという情報を聞いてきたんだが…」


「!?お前も黒獅子を探しているのか?」こんな子供がまさかあの黒獅子を探しているとは…。

それにコード『白夜光』…どこかで聞いたことがあるがどこでだったか忘れてしまった。


「あぁ。何か知っているのか?」白夜光と名乗る子供は少しの期待をかけたような声で聞いた。



「お前こそ何か…っ!くそっ…意識…が…」優輝はその場でゆっくりと倒れた。


「…はぁ…黒獅子の代わりに救助するはめになるとはな…アイツ…俺をはめたのか」
白夜はそっと優輝をそこから運び出した。