ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 白夜のトワイライト うおっ!参照1000いきました!w ( No.133 )
- 日時: 2010/12/27 17:34
- 名前: 遮犬 (ID: S19LK/VD)
ディストと白夜、優輝は互いに対面し合っていた。
場所はエルトールの団長室。ディストは団長の席に座りながら微笑み浮かんでいる。
「…説明してもらおうか?」
白夜がディストに声をかけると
「あぁ、そうだったね…。さて…まず最初になんだけど…」ディストはとぼけた感じに語り始める。
第6話:動く政府と反政府
「黒獅子と僕は昔の戦友だったんだ」
「な…!」驚きの言葉をあげているのは優輝。白夜は表情を歪ませることさえしない、無表情だった。
「なら…どうして俺達に居場所を…!」優輝がディストに突っかかろうとしたが
「居場所がわからない…それに、その黒獅子から渡された物…それが関係しているんだろう?」
そこまで白夜がディストの目を見据えながら言う。ディストをそんな白夜に少し微笑み
(さすがは白夜だね…ま、想定内なんだけど…)思いながら少し苦笑し、ディストはまたも続ける。
「白夜の言うとおりだね〜。この渡されたもの、そして居場所がわからなかったんだよ」
「そんなにその物が大事なものなんですか…?」優輝がディストに恐る恐る聞くように言った。
「うん。だってこれはね、トワイライトの設計図なんだもの」
「なっ…!」優輝だけが驚く。何故か白夜は少しも驚いてはいなかった。
そんな白夜の姿を見て少し笑い、ディストは言った。
「白夜、君はもう気付いているんだろう? 僕が元々"何だったのか"を」
「…あぁ」そう白夜は言ってディストを睨みつける。優輝だけ何もわからないような状態だった。
「ディスト…お前はトワイライトの設計者でもあり、トワイライトの適合者なんだろう?」
その白夜の言葉にもう一度笑い、ディストは答えた。
「ふふ…正解なようで正解でないかもしれないね…」
「それを聞かせてもらおうじゃないか?」白夜はまさにこのことを聞きたかったのだとディストは確信する
「僕はね…黒獅子とは裏の存在、僕のアバターコードは"白獅子"っていうんだよ」
「ディストさんが…黒獅子の裏の存在…!?」
「そ、まあなんていうかね…僕はもう一人の黒獅子ってことになるのかな…」
「どういうことだ?」白夜はディストにまた問う。
「いったでしょ? トワイライトの適合者だと…。使用するとリスクがかかるのは君が一番よくわかる」
「なるほどな…お前にかかったリスクは裏と表、その切り離し…クローンみたいなものか」
「ま、そう捕らえてくれればいいかな」ディストは苦笑しながら白夜を見据える。
「そんな…じゃあディストさんも黒獅子…?」
「そうだね…よく言えばそうなるね。優輝君、君の仇は…僕でもあるんだよ」
「…ディストさんっ!」優輝は大きく怒鳴り声を上げて立ち上がった。そして続ける。
「…なんで、俺の家族をぶっ壊したんですか…? 答えてください…!」
その言葉にディストは俯き、手を組んだ。
「ごめんね…優輝君。君のお父さんを陥れた理由は僕にもわからない。全て繋がっているわけじゃない」
「…ならもう一人の黒獅子にきかないといけないってことですか?」
「うん…僕もアイツを止めるために、いや…殺すためにエルトールの団長をしているぐらいだ」
その時、ものすごい殺気がディストが沸いた。目も今までとは違う、とても恐ろしい目つき。
「…それはわかっている。だが何故トワイライトの設計図がお前に手に渡る?」
白夜が冷静にディストに聞く。ディストはいつも柔らかい表情に戻し、答えた。
「もし、罪人に設計図が渡るようなことがあれば、何がどうなるかわからないよね?」
黒獅子はトワイライトを作れるだけの大きな企業を持っている。ま、作れてもせいぜい1個が限度だけど」
「1個って…そんなにトワイライトは…」優輝は改めてトワイライトがどんなものかを知った。
「うん。まあでも未完全なものが一個だと思うけど。完全なものはどこにあるかわからないトワイライト」
(ルト…)その完全なトワイライトの中にルトの意識が眠っているはず、何かがあるはずなのだ。
自分はそのトワイライトを探さなければならない。
「それで…黒獅子は研究所からその設計図を持ち出したんだ。彼は最高研究者の一人でもあったからね。
彼がもっていると危ないと考え、黒獅子に相談を持ちかけた。その条件は…」
「…俺か…」白夜が静かに、ゆっくりと言った。
「自覚はしているんだね…。そう、君に会って話をすること。それが相手の持ち出した条件」
「たったそれだけのことで設計図を…?」
「うん。多分もう設計図は他にコピーしてあるんだろう。それに僕達じゃ作れないこともわかってる」
ディストは優輝に答えてからもう一度白夜を見て続ける。
「黒獅子の目的…それが何かはわからないけど白夜、君の存在は必要不可欠のようだね」
「俺の力…白夜光の太陽と闇の力が欲しいんだろうな」
白夜はそこまで言うと立ち上がった。
「…どうするんだい?」ディストが白夜に聞く。
「決まっているだろう? 俺にはやるべきことが増えた。レトも助けなくてはならない。
…おい、日上」
「な、なんだよ…」優輝は初めて名前で呼ばれたので驚きながらも答える。
「武装警察の案内をして欲しい」白夜は優輝の目を見ていった。
「お…俺に?」初めての頼みごとということもあり、優輝は驚きを隠せない。
「あぁ、お前の力が必要だ。…それと、扉の向こうでコソコソと話を聞いてるやつもだ」
白夜が言った直後、扉がゆっくりと開き
「あはは…バレてましたか…」秋生と春がそこにいた。
ディストは笑いながら思う。
(ふふ…白夜君、君もやっと人を信じることが出来たみたい——)
「お前らは俺のしもべだ。人員も必要だし、しっかり働いてもらうからな」
(…はは、やっぱりそうでもないのかもしれない…)と、ディストはただただ苦笑する。
でも、ディストは一つ思った。
(この少年ならば…やってくれるかもしれない…)
白夜の周りを囲んで微笑む優輝、秋生、春、そしてその中心にいる無愛想な子供、白夜を見て。
(…エデンを…この腐った世を…変えてくれるかもしれない)そう心からディストは思った。そして告げる
「じゃあ…いってらっしゃい、4人共」
「あぁ(はい)!」そして白夜たちは団長室から出て行った。