ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 白夜のトワイライト ( No.138 )
- 日時: 2010/10/01 00:02
- 名前: 遮犬 (ID: cLZL9WsW)
大きな外壁、見た目は少々殺風景な様子。だが、存在感はひしひしと伝わってくる、大きな建物。
「…へぇ〜、ここが武装警察のエデン内本拠地かぁ〜」秋生が建物を見上げ、感嘆した声で言った。
「まぁ…俺もここに来るのは数えるほどしかないよ」優輝は面倒臭そうに頭を掻きながらいった。
吹き荒ぶ砂嵐の中で秋生は顔を伏せながら優輝にいう。
「確か…色んなところに支部があるんだっけ?」
「あぁ…んで俺はその5番支部に所属している下っ端さ」
優輝は小さくため息を吐いて建物をもう一度見上げた。
「…入るぞ」
白夜はそんな二人を残して先に行く。その後を春はしっかりとついていく。
「ちょ、ちょっと待ってくれよっ!」優輝と秋生は二人、声を合わせて白夜たちの元へと走っていった。
そんな白夜たちの遠く後ろの彼方では一人の黒いコートを見につけた女性がいた。
冷血な無表情で瞳はダーグブルーに光を浴びている。黒いコートで見えにくいがマシンガンを装備している
「…あぁ、私だ。"月夜"(ムーンナイト)だ。目的の場所へついた。どうすればいい?」
なにやら無線のようなもので話をしている月夜のその傍らで白色のワンピースを着こなす女性もいた。
「…わかった」一言呟いて月夜は無線を切った。その様子を伺うことなく、無表情で女性は黙っている。
「氷歌、そろそろ準備をしておいたほうがいいよ」
氷歌と呼ばれた白いワンピースの女性は無表情のままただ淡々と
「はい、わかりました」と、月夜に告げた。
武装警察の建物の中はそんなに堅苦しくもなく、また派手でもなかった。
受付があり、そこに数人の人がおり、傍には防衛用の戦闘員数人がおり、奥にはエレベーターがあるぐらい
すると受付のうちの一人が早走りでかけてきた。
「あ! 優輝君じゃないですか!」
そのかけてきた少女は髪の毛の色が少々金髪なのが特徴的な様子で優輝に話しかけてきた。
「あーやっぱり本部のほうにいたんだ? 凛ちゃん」
「はい! 久しぶりですね!」凛と呼ばれた少女は笑顔で返す。どうやら優輝と知り合いのようだった。
「えと…今日きたのは…?」凛が優輝に問う。
「あぁ、この三人がー…えっと…そう! 武装警察に入りたいからって…案内をしに、ね」
「案内ですか? へぇ〜この三人の人が——」凛の言葉を遮り、白夜は図々しく無愛想に前へ出て喋る。
「案内などいらん。お前らの中の一番偉いやつと会わせろ」
初めて入り、初めて会った人に対して一番偉いやつと会わせろといったのは恐らく白夜一人だろう。
「アホかっ! お前はっ! そんな簡単に会えるはず——」
だが、凛から返ってきたのは意外な言葉だった。
「あ、話は伺ってますよ。白夜光さん…ですよね?」
「え? 知ってるの? 凛ちゃん」優輝が白夜を指さしながら驚いた表情でいう。
「私が連絡をしておいたのと…白夜君自体、武装警察の上の方とお知り合いみたいですね」
後から春が笑顔で補足する。春なんでも仕事に対して気が利く方であった。
「じゃあ案内しま——」
その時、大きな震動が白夜たちを襲った。
「な、なんだこれっ!」秋生がしゃがんでバランスを取りながら言う。
「…これは…ッ! 皆さん! 私に早くついてきてください!」
凛が今までとはうってかわり、白夜たいにキツい口調で叫ぶ。
何が起きているのか、全く白夜たちにはわからない。ただ凛について行った方が良いとだけわかった。
「…案内しろ」白夜はさっき言った言葉を前言撤回し、案内を求めた。
それに返すように凛はエレベーターへと導いた。そのエレベーターは大型で何十人も乗れるようだった。
その震動が一体何の前触れなのか。白夜は武装警察に来た理由をもう一度だけ整理する。
ここにきた理由、それは——
「さぁ…始まるよ…白夜光。君は主役なんだから…ふふふ…」
暗い部屋の中、ただ一人黒獅子は微笑み、自らの考えたシナリオを頭に描いて
「さぁ…政府よ。僕たちと…殺し合いをしようか…生き残りを賭けた…ね?」
急速に、時は流れていく。