ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 白夜のトワイライト 更新再開 ( No.150 )
日時: 2011/01/03 03:53
名前: 遮犬 (ID: zWHuaqmK)

「さて……と。私達も行こうか」

月夜は爆撃と味方の軍勢が一斉に動き始めた後、呟いた。
軍勢、といってもそれは一般ユーザーではない。
元々ユーザーであって、ユーザーでないもの。つまりはバグを称するイルの軍勢であった。
イルはユーザーの死んだ残骸の塊となって出来るもの。それはまさに異形の形といえる存在。
それが何百、何千といる。それが反乱軍の軍勢の正体であった。

(まさか本当にイルを操れるとはな……)

月夜は自分の腰あたりに装備してある煌びやかに光る蒼い宝石のようなものを見つめた。
その宝石は黒獅子から渡されたもので、これを持つことで大抵のイルを軍勢に引き連れることが出来る。
現にこうして軍勢が出来てしまっているのだから信じざる終えなかった。

「あの男はどこまでが本当で、どこまでが化けの皮なのか……」

月夜は鋭く吐き捨てるようにそういうと、横に呆然と戦況を見つめたままの氷歌を促した。

「そろそろ、暴れようか? 氷歌」

氷歌こと涼代 美月は月夜の顔を見ず、目の前を見つめたまま

「うん。楽しみだよ……すごく」

月夜は、氷歌と最近よく行動を共にしていた。
それは、また自分のとある探しているもののためなのだが。
氷歌も氷歌で何か目的があるように見えるが、プライバシーにも関わると放っておく。

そして、二人はイルの軍勢に交えてたった一つの目の前の目的に向かって走り出した。

——政府に宣戦布告するための大きな一歩となるであろうこの戦いのために。



第7話:戦いの螺旋



「え、えっと……既に、武装警察の戦闘要員は配置についているようです。
敵がある一定のところまで近づくと罠が発生し、そこを一気に畳み掛けるそうです」

凛は少々緊張した面持ちで白夜たちに告げる。

それもそのはずだ。初めての戦闘。それもいわば殺し合いなのである。
下手をすれば死んでしまうかもしれないゲームでないゲーム。
非現実であって現実化してしまうエデンに時折、畏怖を感じることすらある。
ゆえに、凛の肩は小刻みに震えていた。
そんな肩を、優輝が優しく手で覆う。

「大丈夫。何かあったら……俺が守るから」

少し照れ臭そうに言う優輝。
凛はそんな優輝を見て、ほどよく安堵する。

「ありがとう、優輝君」

凛はそっと優輝に微笑む。
どうやら覚悟を決めたようである。

少々走り、戦闘要員用のベースへと辿り着く。
そこには既に戦闘準備をしている武装警察が何人もいた。
皆、真剣な面持ちで目の前の敵が罠にかかってくれることを期待する。

白夜たちもモニターを睨みつけるようにして見つめる。
赤の敵軍勢が目的の場所までもうすぐでぶつかるというところ。
後少し、あと少し。

そして、モニターに浮かぶ【陥没】の文字。
いわゆる、成功を意味する文字だった。

「いくぞおおおおっ!!」

戦いの雄たけびをあげ、いざ戦いにゆかんとする武装警察戦闘員。

だが、何かがおかしかった。

「俺たちも続かないと……」

優輝も続こうとしたがその腕を白夜は掴む。

「待て。……何かがおかしい」

それはモニターだった。
陥没、と記されているが敵の姿はそこにある。
罠は捕縛か何かのものだったようだ、と気付く。

だが、しかし。
目の前の光景を見張る。

「何だ……? 誰も、いない?」

敵軍勢が何もなかったかのように、そこにいないのである。
何の音も聞こえない。大声援のおかげで敵の声を聞き分けることが出来ない。

「これは……罠だ」

白夜がそう告げた瞬間。
前へ名乗り出ていった武装警察戦闘員が次々と倒れ始める。

「ぐぁあっ……! なんだ……この音はっ……!!」

「いやぁああ!! こないでっ! こないでぇええ!」

戦闘員たちは突然狂いだしたように叫びだす。そして、どこか怯えていた。

「ど、どうなってんだ……?」

秋生が思わず目の前の風景を疑う。
しかし、原因はすぐに分かった。

「避けろっ!」

白夜の咄嗟の一言に体を反転させてものすごい速度で飛んでくる何かを避けた。
そして、大きな音。これは銃声であった。
銃が放たれたであろう方向を見ると、黒いコートを着こなす女性が一人、そこにいた。

「へぇ……よく避けれたね?」

ショットガンらしきものを抱えたその女性は不気味に笑う。

(こいつは……)

何かが違う。
そう感じ取るのはたやすいことだった。まるで普通のユーザーではない。
オーラか何かを感じるほどの存在感がその女性にはあった。

「お前、名は?」

白夜が名前を聞き出そうとする。
すると女性は不敵に笑みを浮かべながら答えた。

「私…天道 残月(てんどう ざんげつ)。アバターコードは、月夜ムーンナイト

狂った戦闘員の嘆きの声が聞こえる中、月夜は静かに笑う。
普通の敵ではない。白夜はそう思った瞬間、全員に告げる。

「俺がこいつを担当する。お前らはこの事態の原因である者を確かめろ」

命令口調で言ったが、皆これは正しい判断だと頷きで応じる。
そして何より、白夜の強さを信じているということもあった。

白夜と月夜だけが対峙する。
周りは狂った声の音響。そんな他から見れば地獄ともいえる境遇。

「……俺は月影 白夜。アバターコードは白夜光だ」

白夜は名乗ったのとほぼ同時に後ろ腰に装備していた大きな翼のような銃を携えた双剣を構えた。


「ふふ……。そうか、君が白夜光か……」

殺気が一気に溢れ出る。
月夜の殺気は、半端なものではなく、まさに憎しみそのものといっていいほど強大なものだった。


「死ほど美しいものはない……。私は、そう思うよ」


不敵に、月夜は笑った。

Re: 白夜のトワイライト 第7話スタート ( No.151 )
日時: 2010/11/21 00:26
名前: 遮犬 ◆ZdfFLHq5Yk (ID: pD1ETejM)

(あの人はもしかして……)

春は優輝たちと、戦闘員が狂っている原因を見つけるために共に荒野の中を走っていく。
その間で気になったこと。それは白夜が引き受けるといった敵の女性のことだった。

(あのものすごい威圧を感じるオーラ……。畏怖すら感じるあの感覚……もしかして……)

春は感づく。いや、だがそんなはずはない。
思いついた人物は死んでいるはずである。だが聞いたことがあった。
薄いピンクの髪にダークブルーの瞳。さらには黒コートを着た女性。
その女性ユーザーは多大な威圧感のあるオーラを放つ。
その女性の名は、天道 残月。アバターコードは月夜。
元SSSランクのクレイバーであった。

「どうした? 春?」

秋生が春に声をかける。
鈍感な秋生でも自分の考えていることが分かったのだろうか、心配そうな顔をしている。

「いえ……何でもないです」

ただ、それだけを告げる。
秋生はその言葉に「そっか?」と、言ってまた走り出す。
問題はその月夜自体ではない。春が気にしているのはそのもう"片方"。

(もしかしてこの超音波……幻を見せているのは……!)

思い当たる一人の人物。
その人物であろうに違いないと確信し、春は走り出した。




月夜は薄いピンク色の髪を優雅に揺らしながら、黒いコートの中から何かを出す。
どうやら武器はコートの中に隠されているようだった。
取り出したのはナイフ。それを素早く、白夜に投げてくる。
白夜は予備能力でもある、実体感覚距離能力というものがあり、
目に入る物の距離感がコンマ単位で分かるというものである。
そしてその距離感を、体に見につけることが出来る。
その能力のせいもあり、白夜は特に驚きもせず、自らが持つ双銃を放ち、ナイフを空中で叩き落とした。

と、その次の瞬間。
一気に月夜は白夜の傍まで来ていた。
右手には大きめのナイフ、もう片方の左手にはショットガンのような銃を持っていた。

白夜はすぐさま双剣を振り上げた。
ナイフと双剣がぶつかる音がする。そしてもう片方のショットガンで——攻撃してこない。
その次の瞬間、白夜は腹に痛みを覚え、後ろへと吹き飛ぶ。
月夜に足で腹を蹴られたのだった。

「……ペッ」

口の中に残る血ヘドを白夜は吐く。
体術にはかなりの自信がある白夜は少々の屈辱を覚える。
見えたはずだった。だが、相手は自分が予測していたものよりか速かった。
それは実体感覚距離能力を凌駕したということにもなった。
白夜はこの能力を越すほどの体術をみたことがなかった。

(間違いない、こいつは……)

ゆらりと体を揺らし、こちらに不気味に笑い顔を見せながら月夜は言う。

「どうしたの? もっと楽しもうよ。ふふ……!」

(SSSランク……それも俺と同じ、クレイバーか……)

ならばさっきの体術にも納得がいく。そして何かしらの能力があるはずだった。

「ならそれを引き出してやろう……力ずくでな」

白夜の右手が輝かしい太陽の光に包まれた。

「面白いね……。きなよ」

月夜は、楽しそうに微笑んだ。
それは、畏怖すら感じられるほどの殺気と共に、言ったのだった。




優輝たちは何もない荒野へと場所を移した。そこには相変わらず何もなかった。
モニターではここらへんに敵軍勢がいたはずなのである。だが、いまや姿形も見えない。

「二手に分かれよう。俺と凛のチーム、秋生さんと春さんのチームで」

優輝は二手に分かれて原因や何が起きているのかを確かめよう、ということであった。
戦闘員たちは既に怯えすぎたのか震えるばかりで使い物にならなかった。

「分かった。それじゃあ俺たちは——」

その時だった。
何かが、空中に見えたのだ。
そしてその瞬間、秋生が吹き飛ばされる。

「秋生さん!」

空中にいきなり現れたのは、怪物のような手。
そしてぼんやりとした蜃気楼が漂う。

「まさか……」

その手はだんだん鮮明になってゆき、体、足、手、頭と、姿をあらわにしていく。
そしてあらわれたのは

「hsふぁfgじjrじぇfkjそ!!」

言葉になっていない叫び声をあげる異質の存在。
それはまぎれもなく、イルだった。

「散開しろっ!」

優輝の一言で春は散開、凛は優輝が引き連れてなんとか散開する。
そして優輝は周りの方を良く見る。すると、蜃気楼のようなものがあたりを覆っていた。
さらに、それは姿を現す。

「俺たちも……既に幻想にはまっていたのか……?」

周り一面、イルに囲まれていた。全く気付かなかったことに対して優輝は悔いる。
そんな中、春は一人の少女の姿を見つける。
それはずっと探していた少女の姿だった。

狂歌きょうか……!」

春の視線の先にあった人物。
白い長袖のワンピースを着こなし、深い藍色の瞳を虚ろげに持つ少女。

「狂歌! 貴女、なんでここに……?」

春が狂歌と呼ぶ少女に近づいていく。
だが、行く先をイルに阻まれる。

「私は氷歌……。狂歌? 何のこと?」

そして少女は歌い出そうとする。
超音波ならぬ歌声。それは幻を見せる歌声であった。

「アイツがこの状況の確信犯かっ!」

イルによって吹き飛ばされた秋生はいつの間にか立ち上がり、氷歌を睨む。
だが、今のこの状況は圧倒的に優輝たちにとって不利であった。
イルの大群、つまりは敵の軍勢が自分達に向けられているのと同時に本部へと進行し始める軍勢。
本部の方には正常な戦闘員はいることはいるが、皆この状況に把握できずに困惑している。

そして、また、この軍勢を倒さなければ氷歌には追いつけない。
さらに氷歌の歌うのを完全に静止させなければならない。
自分たちは幻を見ているのかどうかは氷歌が春の言葉に対して返事をとったことから本物らしい。
つまりはこの能力、どういうことなのか。

「……分かったかもしれない……」

この能力の謎を解いたのは、凛だった。

「本当か?」

優輝が驚きながらもそう言った。
しっかりと凛は頷く。だが、一つ条件があった。

「あの人に近づくことです」

幻の原因、歌っている少女の傍まで行くというのが条件だった。
ということは、この囲んでいるイルの軍勢を倒す、というのも目的となる。

「皆! ……活路を開くぞっ!」

優輝は剣を構えて他三人に声をかける、と同時にイルたちも優輝たちに襲いかかってきた。


戦いの螺旋は、激しく回り始める。




Re: 白夜のトワイライト 第7話更新なう ( No.152 )
日時: 2010/11/21 10:17
名前: 世移 ◆.fPW1cqTWQ (ID: nHQBOu.t)

こうして見ると名前やアバターコードで月が付くキャラクターが結構いますねww

Re: 白夜のトワイライト 第7話更新なう ( No.153 )
日時: 2010/11/21 11:44
名前: 遮犬 ◆ZdfFLHq5Yk (ID: pD1ETejM)

>>世移さん

そういやぁそうですかな…w
いやぁ、でも皆さん個性的なキャラすぎて扱いきれないですお…w

特に紅蓮さんの紫苑君を僕ごときがねw扱えるのかどうかww
結構、焦りを感じておりますwですがかなり助かってますw
チートキャラとか多くなると思うので(ぇ
それらを倒していただくためにも必要な存在になりうりますからね…w

Re: 白夜のトワイライト 参照1500突破っ ( No.154 )
日時: 2010/11/24 23:52
名前: 遮犬 ◆ZdfFLHq5Yk (ID: XvkJzdpR)

「結構面倒臭いことになってるようだな〜」

崖から降りきった不知火が先に崖下についている七姫に向けて言った。

「遅いよっ! 色々すごいこと起きちゃってるのにっ!」

頬を膨らませつつ、興奮しながら七姫は不知火に言う。
これだと怒っているのかどうなのかが分からない。それに思わず不知火は苦笑しつつ答える。

「崖から降りている最中に把握したよ。あれは……反乱軍側に面白い敵がいるみたいだね」

不知火が状況を把握していることを知った七姫は怒ったように腕を組む。

「もういいですっ! 私一人で調べますから不知火は適当に相手でもしといてください!」

「いや、それって別行動っていうこと?」

不知火が返事を返す前に七姫は持ち前の能力で戦いの起きている要塞へと向かっていった。
その姿に肩を竦ませる不知火。だが、戦いに混じりたいというのは本当だった。

「やれやれ……赤頭巾が狼に食べられないように見守るのも、俺の仕事の一つなんだけどな……」

不知火はそうはいいつつも、優輝たちが戦っている場所の逆方向に向かいだした。




「だああっ! うぜぇっ!!」

月蝕侍こと秋生はイル3体に向けて二振りの刀で薙ぎ払う。
たやすくイルは撃破されていく。だが、数が数だった。

「これじゃあキリねぇっての!」

そうはいいつつも全く苦にもせず、たやすくイルを撃破していく秋生。
以前よりか強くなっていることは明らかだった。

「……もう少し味方がいればいいのですが」

大和撫子こと春はナイフを構えてその外見とは裏腹に俊敏な動きを繰り返す。
それは何回も細かく続いていく。そしてどんどんイルは倒れていくのだ。
大和撫子、一見そのアバターコードは優しそう、控えめな感じを漂わせるが、違う。

「大和撫子をなめないでください」

春は倒れかけたイルの脳天辺りにナイフで瞬間的に切り裂いた。
これが、大罪人を裁く仕事であるエルトールの者。これが普通なのであった。

「俺も……負けてられない……なっ!」

優輝が背丈を優に越える刀を振り払い、何体も薙ぎ倒していく。
だが、俄然突破口は見えないどころか、優輝は怪我がまだ完治していないためか激痛が走る。

「ぐっ……!」

情けなかった。自分ひとりだけが怪我を負い、足手まといになるということが。
だから無理にでも立ち上がる。悔しくて怪我をしている腹の部分に力を入れる。
今にも血が滲み出てきそうな激痛が全身を走った。

「大丈夫? 優輝君」

凛が傍におり、優輝に声をかける。
その言葉に救われてなんとか耐え切る。

「あぁ、ありがと——ッ!! 危ない!」

「え?」

凛の後ろには、不気味で鋭利に尖った腕を振りかぶり、今にも振り下ろそうとしているイルの姿。

「あっ——」

凛へと、無常にもその腕が振り下ろされ——なかった。

ドンッ!

胸を締め付けるような銃声が鳴り響く。武装警察に入っていることからしても音や威力で判断がつく。
この銃声、そして一撃で敵を吹っ飛ばすような威力の銃。それはマグナムだった。

「危なかったな」

どこかで聞き覚えのある声がしたと思った。
そして次に聞こえてくるのは、謎の呪文。

「苦痛せしアラトゥスと道化ヘルマン」

この呪文、どこかで聞き覚えがあった。そして、寒気が一気に全身をかけめぐる。
この呪文は、まさに運の呪文だった。当たりもあれば、ハズレもあった。
優輝はこの呪文で何度酷い目にあったことか。それがよく体に染み付いていたのだ。

「レイスさんっ! ワイズさん!」

優輝はその駆けつけた二人の名を呼ぶ。
エルンスト・ワイズマン。通称ワイズこと軍犬は無表情で頷いて返した。
そして、レイス・マキャベッリ。通称レイスこと短探求の能力が今、発動された。

上空から閃光が迸る。そしてそれは敵味方関係なく無差別に降りかかった。

「避難だっ! 逃げろっ!」

避難しようとする。その場はレイスの元にである。
レイスの元には災いはこない。ゆえにそこに優輝たち一同は向かう。

「グギャアアッ!!」

凄まじい奇声をあげてイルたちは倒れていく。それは次第に感染していき、ついには周りのイルはほぼ全滅
一気に形勢逆転だった。

「や、やりましたよっ! レイスさん!」

思わず手を取るほど優輝は喜ぶ。それに笑顔で返すのではなく、変な文の羅列が帰って来た。

「やはり、私の直感は当たっていたようだ。この闇にまみれる戦場下での推測はいかなる——」

その言葉を全て無視することになれていた優輝は次に凛を助けてくれたワイズへと挨拶をする。

「お久しぶりですね、ワイズさん」

ワイズマンは久しぶりに会う優輝の顔に少々笑みを零し「あぁ」と相槌をうった。

「ま、とりあえずは……後は目的は一人だってわけか」

秋生は遠くに見える少女を見据えて言った。
その少女の目は、いつまでも透明で、表情は小さく笑っていた。




「さてと……予想通りに事が運んだね? クロ?」

薄暗い室内のせいでよく顔は見えない。だが声からしてクロという人物に話しかけた男は相当若いだろう。

「はは……ラプソディ? 君は楽しみかい?」

クロこと黒獅子はラプソディという声の若い男に問う。
その問いにラプソディは首を傾げる。

「どういうこと?」

すると黒獅子は「ふふ……」と、不気味な笑顔と共に傍にあった椅子へと腰掛ける。
そして、言い放つ。

「世界はたった一つのトワイライトで混乱を招いた。そして終戦まで導いた……じゃあさ」

机の傍にある訝しげなボタンを押す。
すると目の前の壁がだんだん取り払われていき、一つの大きなスクリーンが出てくる。
そこに映っていたのは——


「トワイライトの数倍、いや数十倍はいく凄まじき兵器……"エコーズトワイライト"……
もうすぐで、完成するんだ。後、もう少しで。そのためには……集めないといけない」

「何を?」

ラプソディはずっと笑っているようだった。声からして楽しんでいるかのように感じ取れる。


「トワイライト適合者たちだよ。その中でも一番の人材……白夜光を、必ず……

      必ず、捕まえないとね。いけないんだ」

Re: 白夜のトワイライト 参照1500突破っ ( No.155 )
日時: 2010/11/25 20:22
名前: 世移 ◆.fPW1cqTWQ (ID: EDXcI6jL)

えwまさかの強化バージョンが出てくるんですかww

Re: 白夜のトワイライト 参照1500突破っ ( No.156 )
日時: 2010/11/26 21:26
名前: 遮犬 ◆ZdfFLHq5Yk (ID: XvkJzdpR)

>>世移さん

まさかの、ですww
てかトワイライトの威力的なのを知らないのに何か出ちゃいましたね…w
個人的にはその部分より、のちのちラプソディという奴が関係してきまするw
強化バージョン、出ますけども…といったことがありますかね…
さて、作者もどうなるか分かりませんがw(ぇ
頑張りたいと思いまするw

Re: 白夜のトワイライト 参照1500突破っ ( No.157 )
日時: 2010/12/02 23:00
名前: 世移 ◆.fPW1cqTWQ (ID: EDXcI6jL)

ところで、前は賑やかだったのにもうほとんどコメ来ませんね・・・

Re: 白夜のトワイライト  ( No.158 )
日時: 2010/12/03 16:52
名前: 遮犬 ◆ZdfFLHq5Yk (ID: XvkJzdpR)

>>世移さん

そうですねぇ〜…。
まず最初にこの話が面白くなかったということが出てくると思いますがw
この物語を読んで、コメしてくれた方やオリキャラ出してくれた方の内ほとんど最近じゃ見ない方が…。
リアルが忙しかったりするのだと思いますけどね^^;自分的には何だか寂しい思いですw
更新一回これ中止したときもありましたからwその時からバッタリこなくなりましたねー…。

Re: 白夜のトワイライト  ( No.159 )
日時: 2010/12/03 17:05
名前: Neon ◆kaIJiHXrg2 (ID: xiz6dVQF)

その様で、私はコメしなくともずっと読んでいましたけどもやっぱり数日来なくなりましたね
中断はいけないと言う教訓でしょうか

Re: 白夜のトワイライト  ( No.160 )
日時: 2010/12/03 21:35
名前: 紅蓮の流星 ◆vcRbhehpKE (ID: EWuSebNO)

ならば私がコメントいたしましょう。
・・・とか言ってる場合じゃないよなあ。私も。

Re: 白夜のトワイライト  ( No.161 )
日時: 2010/12/04 11:45
名前: 遮犬 ◆ZdfFLHq5Yk (ID: XvkJzdpR)

>>ネオンさん

多分そのようですw
てかずっと読んでくれてたんですかw
嬉しいでございますwえ?この小説のことじゃないって?あぁ、そうですか…(ぇ
でもまあ、自分は今がいいですからw別に後悔はしてないですよw


>>紅蓮さん

ありがたいですおwありがとうございますw
紫電スパイダー、完結楽しみにしておりますよw
お互い頑張りませうw

Re: 白夜のトワイライト  ( No.162 )
日時: 2010/12/19 00:38
名前: 遮犬 ◆ZdfFLHq5Yk (ID: XvkJzdpR)

辺りが急に騒々しく騒ぎ始める。
外では優輝たちが事の発端でもあるものを食い止めようと戦ってくれている様子であった。

そんな中、本部内部で向き合う一人の少年と一人の桃色髪の女性。
少年、白夜の右手には光り輝く太陽の光が溢れている。
しかしそれは、もう片方の左腕に突如として現れた闇と配合していく。
混ざりに混ざった後に——銀とも灰色ともいえる混合色。

「面白い……! 面白いよっ! 白夜光!」

対する桃色の髪を持つ女性は不気味に笑いながら駆け巡る。
すかさずその猛進ともいえる接近に右手を振りかざし——横に薙ぎ払う。

凄まじい爆音と共にその桃色の髪を持つ女性、月夜の付近にて爆発が起こる。
だが、それはまるで読んでいたかのように軽々と上空を舞い、爆風を避けた。

(やはり……俺の予想は間違っていなかったようだ)

白夜は心の中で確信を持ち、ふたたび連続して爆発を生み出す。

「どうしたのっ!? そんなものじゃ——ないよねぇっ!?」

月夜は凄まじい身体能力を見せつけながら爆風を次々とかわして行く。
いくらなんでも、身体能力だけでここまで行動できるのは不可解であった。

「ふふ……!」

月夜が遂に全ての爆風を避けきり、白夜の2mほど付近まで近づいた時。

「何がおかしいの?」

白夜は——笑った。不敵な笑みを浮かべ、周りには灰色の薄暗い光が彩っている。
この光こそが白夜光という能力であり、また白夜そのものでもある。
その光がなにやらざわついているような気がして月夜は胸に不信な感情を抱く。

「貴様とのお遊びは、もうタイムリミットだ」

白夜は不気味に顔を歪ませて、銃口を月夜に向ける。
——何かが、おかしい。
不信な気持ちが月夜にそう思わせていた。

「貴様は、俺に勝てない」

「ッ!?」

その瞬間、白夜は月夜の後ろに回っていた。

(なっ……!?)

闇に纏わりついた左手を月夜の腹部辺りに押し当てる。

「チェックメイトだ」

ドクン! と、体中が跳ねたかと思いきや月夜の口から何かが込み上げてくる。

「ぐは……ッ!!」

それは、血であった。
闇の磁力などを利用し、相手の体内部にとてつもない衝撃を与えたのだった。
その衝撃さゆえか月夜はゆっくりと床へと倒れこむ。

「安心しろ。内蔵までは破壊していない」

「ど、どうして……!」

月夜は苦しそうに立ち上がりながら言う。

「どうして、未来を凌駕させることが出来た……!」

そう、月夜の能力は未来予知である。
あまり人に自らの能力を知らせることはしたくない月夜は謎の能力として知らせれていた。
持ち前の運動能力とその未来予知で相手の次の行動を知り、それを逆に利用して相手を倒してきた。
しかし、それがこの目の前にいる少年、白夜には通じなかったのだった。

「答えろ……! 白夜光!」

月夜は屈辱と共に白夜へと言った。
白夜は無表情に、何を考えているか分からないその"幼き子供"は言った。

「夢でも、見てたんじゃないのか?」と。

その言葉に、何故か寒気とおぞましさが込み上げてくる。
月夜にとってこの感覚は初めてだった。

(白夜光……噂以上の人間ね……!)

月夜は、目の前の畏怖するべき見た目は子供の白夜を見つめる。
表情は、読めない無表情だった。未来予知をしても、もう何も、見えなかった。




「私が、相手になります」

不意に言った一言。それは春の口から漏れた言葉だった。

「いきなり何を言って——!」

「これは、私の問題なのです」

優輝の言葉を遮り、春は冷たい口調で言った。
雰囲気が、いつもと違っていた。

「たった一人で挑む気か?」

秋生の言葉に頷く春。
ため息一つ、秋生は吐くと混乱している兵士たちの元へと歩き出す。

「お、おいっ! 秋生っ!」

「俺は抜ける。他の者を助けに行く。大和撫子がやるっていってんだから邪魔するのは悪いだろ?」

秋生はもっともな意見なのかどうなのかあまり把握が出来ないようなことを言って去っていく。
春は、真っ直ぐに優輝を見つめると言った。

「お願いします。あの子と……氷歌と、一騎打ちさせてください」

それは、決意の込めた目で言った。
いつもの大和撫子ではない、エルトールとして。
それを無為に断るわけにはいかなかった。

「……分かりました。その代わり、必ず勝ってください」

優輝も誠意を込めたつもりで春を見つめる。
そうして見つめ合った後、春は笑い「はい、勝ちますよ」と、言った。
それを聞くと優輝含む他3人は秋生と同じく、別のところへ支援に向かうことにした。

「さて……氷歌、久しぶりね」

一人佇む、少女。
近寄りがたいような雰囲気を出し、手には武器である大鎌を持っていた。

「貴方は……大和撫子?」

感情の読めないような声で氷歌たる少女は言った。

「そう、私は大和撫子。相変わらずですね」

大和撫子はそんな他愛も無い会話の中、ナイフを静かに取り出して構える。

「私と戦うの? 歌うよ?」

歌うという言葉とは裏腹に大鎌を構える。
静まった荒野の中に二人が対峙する。

「知ってますよ。貴方の歌も、何もかも。同じよう"暮らしてきた仲"でしたから」

春の言葉に全く動じることなく、無表情のまま静止している氷歌。
続けて春は言い放つ。大和撫子らしくない、冷めた口調で。

「何かの縁ですね、これも。きっと、戦わなくてはならない縁なのでしょうね、私達は」

春の言い放った最後の言葉にだけ、氷歌は——笑った。




「ふむ……」

不知火は顎をしゃくりながら立ち止まっている。
それは、目の前に写る光景が予想外とも呼ぶべきものであったからだった。

「全滅……?」

その風景は、まさに惨劇と呼べるものであった。
武装警察とイルが、全員死亡していたのである。
その殺した犯人の姿であるはずのイルの姿も一緒なのである。
この拠点は落とされたとして見るべきだが——殺され方が異常だった。

「これは偵察どころじゃないな……この戦争、何かがいる。とんでもない、何かが」

武装警察でもなく、反乱軍でもない何かがいたということなのだ。
その何かはまさに化け物といえるものであろう。
この何千といる軍勢を倒すほどの軍勢。
普通は何かてかがりを残すはずだが、それらしきものさえもない。

「これは——ヤバイな」

不知火は頭をいつものようにかきながら、そう呟いた。