ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 白夜のトワイライト オリキャラ募集中 ( No.36 )
- 日時: 2010/08/19 22:01
- 名前: 遮犬 (ID: hsrPOuX9)
「黒…獅子………黒獅子ぃい!!!」優輝ががむしゃらに走り抜けていく。
「うりゃぁぁぁああ!」優輝の抜き放った剣が黒獅子と思われる男に当たろうとした瞬間、
——肩の傷が開いた。
「ぐぁっ!クソッ!!!」白夜は優輝の前まで行き、黒獅子らしき男に問いかけてみた。
「答えろ。…お前が本当に黒獅子なんだな?」
「……」黒獅子らしき男は黙ってその場を見つめているだけだった。
「…お前は、トワイライトを知っているか?」
「トワイライト…?」優輝はその名前を思い返す。
確か昔にエデン内で起こった大戦争の名前であるうえにそれを終戦に導いたあるモノの名前だ。
しかしその名前がなぜ白夜の口から出て、黒獅子に問いかけるのか、その意味がわからなかった。
「…お前が、白夜光だな?」
ようやく黒獅子らしき男が口を開いた。仮面を伝ってなので声が少々にぶっていた。
「まず俺の質問に答えろ。お前が黒——っ!」
白夜の声を遮るかのように黒で包まれた男は白夜の目の前まで迫っていた。
「遅いな、白夜光」ものすごい衝撃が白夜の体の全身を襲った。
「っ!!…お前…パニッシャーか…」衝撃のあまりの重さゆえに頭から血を流す白夜。
「……お前の力を…見せてみろ」手で白夜に挑発をかけてきた。
「…面白い。俺の力を…みせてやろう」白夜の手から灰色の光が溢れ出てくる。
「白夜の能力…結局わからなかった。一体どんな能力なんだ…?」優輝はその場を見守ることしかできない
肩の傷がまた数段と痛み始めたのである。
「なさけねぇ…でも…ある意味好都合かもしれないな…」優輝は離れた場所でボソリと呟いた。
「……では、こちらから参る」黒獅子らしき男はその巨漢の体からは想像できないスピードを誇る。
「近づいてきたこと、むしろ好都合だ」その場で銃を構える白夜。
「無茶だっ!そんな近距離で…!」近距離戦で銃は不利になることは間違いなかった。
ましては相手は正体不明の能力。どう出てくるのかわからないのに…
「これはただの銃じゃない…双剣だ」銃の部分が変化して刃が現れる。
だが既に黒獅子らしき男は白夜より先に攻撃を発していた。
「遅い…ということがわかっていないようだな」黒獅子らしき男は手から例の衝撃波を出す。
しかし、その場に白夜はいなかった。
「何…?っ!!」白夜は黒獅子らしき男の遥か後ろへと悠々と立っていた。
「俺の速さには誰もついていけない」白夜は左手を前にさしのばす。
「何…?」黒獅子らしき男は攻撃がこないとでも思っているのか立ち止まり、白夜の言葉を聞いている。
「黒獅子…もう一度聞く。トワイライトを知っているか?」
「……答える義理はない」
「そうか、ならば…ここにいるプレイヤーの分の裁きを受けてもらおうか」
白夜の左手の灰色というか黒に近い光がいきなり光出したと思ったら
「なっ!!」
凄まじい引力で黒獅子らしき男を目前まで引っ張り出した。
引力のせいで黒獅子らしき男は少しの間身動きが取れない。その時、もう片方の手をさしのばし、
「地獄で詫びろ」と、一言いって眩しいほどの白い光を保った右手を下に向けて振りかぶった。
その瞬間、黒獅子らしき男の真下で閃光のような光がほとばしり、爆発を巻き起こした。
黒獅子らしき男は微塵も姿はない。黒コゲにもならなかったのだろう。跡形もなくなっていた。
「こいつは黒獅子じゃない…ダミーだ。それにこいつの能力はただの衝撃波じゃない」
「どういうことだ?」
「勢いをつけないと衝撃波が出ない。恐らくスピード上昇の身体能力系だろう」
「……白夜…お前の能力ってもしかして…」優輝は光と闇の何かかと思っていたが違っていた。
この白夜光の正体は…
「引力を持つ閃光爆破なのか?」
闇が引力を示し、光が閃光爆破を示す。
「あぁ、その通りだ」
ただ閃光爆破の方は、ただの爆破じゃない。凝縮された爆破。
つまり、広範囲で爆破をするよりもずっと効果が強く、太陽並みの温度を保つ爆発ということらしい。
「それが…白夜光。お前の能力か…」
「…それにしても、また黒獅子は出なかったようだな。消えた罪人なら知っていると思ったが…」
消えた罪人というのはどうやらさっきの黒獅子もどきのことだろう。
「俺はまだ探し続ける。俺はトワイライトを探さなくてはならない。黒獅子はトワイライトを知っている」
「…白夜は何のためにトワイライトを…」
「お前に教えることではない。俺は馴れ合いは嫌いなんだ、ほっといてくれ」
そういって去ろうとする白夜を呼び止めようとした時
「…そういえば自己紹介が遅れたな。俺は月影 白夜(つきかげ びゃくや)。コードは白夜光。
罪人を裁く仕事をしている。…じゃあな」
罪人を裁く仕事…エデン内通称、エルトール(神の鉄槌)という仕事。
エデンの中でも特にヤバい罪人を裁く役柄であった。エデン内で最も危険な仕事ともいえた。
*
「月影 白夜…エルトール所属…か。フフフ…いいデータが取れたわね」
別れを告げた二人を見張っていた女は不気味な笑いと共にその場を静かに去っていた。
これは、まだ序章だった。大きな災厄が降りかかることも知らずに。
小さな風に揺れた椿の花が儚く散っていく。そんな儚いモノを掴み取るのは誰?
第1話(完)