ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 白夜のトワイライト オリキャラ募集中 ( No.50 )
- 日時: 2010/08/23 02:36
- 名前: 遮犬 (ID: hsrPOuX9)
「はぁ〜…」
寝転がった状態で優輝はため息をついてみる。だが変なモヤモヤは取れない。
優輝は傷がまた少し開いたのだが警部がどうせ開くだろうと回復の能力を持ったものを連れて来てくれた。
そのおかげで現実世界へ戻り、カツ丼をガツ食いし、現在はエデン内にまた戻っているというわけだ。
エデン内では電脳世界なので食事だけは出来ない。そのために現実世界へと戻らなくてはならない。
だがその他はエデンと現在変わらないためにエデンにログインする人が多い。
その理由は自分を守る力はエデンにはある。力は自分でいくらでも手に入れれる。
体がどれだけ弱くてもエデンならば大丈夫。そのためにエデンにログインするものは多い。
だが優輝はそんな自己満足の理由ではない。
これは自分が果たさなくてはならないこと。家族を…自分の妹を殺した黒獅子を…!
「…クソッタレ……」優輝はもう一度嘆く。
白夜との出会いによって自分をムシャクシャさせていることが自分でもよくわかった。
白夜はどうしてトワイライトを探すのか、そして黒獅子とどう関係があるのか、そしてあいつは…
何の目的があってそんな無茶なことをするのか…。それが一番気になる。
「…アイツは確かエルトールとかいってたな…」
確かに実力は認めるがエデンの中でもトップクラスの危険な仕事であるエルトールだ。
強い、だけではなくあらゆるものにおいて気を抜けることが出来ない仕事。
どうしてそんな仕事をしているのか…それも気になる。気になることが多すぎて混乱する。
「あ〜〜…!!一体何が目的だってんだっ!!」優輝は勢いに任せて前に飛び起きたとき
「アバターヲ殺スコト」
「は?」
目の前には一体の人間の形をしていないような"物体"どこから声が出ているのかわからない。
例えるとすると、何かが集まって出来た塊のようなものが優輝の目の前にいた。
「っ!コイツ!まさか…イル!?」
イルとは病気という意味のことでエデン内のバグ。すなわちシステムの病気ということからイルと称する。
戦闘能力は…ハンパない。現実でやるRPGのモンスターの域ではない。
まさに死の迫っている音がしているように。
「シ…ネ…!!」
「しまっ…!」
優輝はまさか安全領域ワールドといわれた"天燐"に現れるとは思っておらず、剣を地面に置いた無防備状態
すなわち…絶体絶命、と思われたその時だった。
「——っの!バカ部下がっ!!」
イルを大きな斧で吹っ飛ばしていたのはいつかのあの刑事。
「橋野刑事!」優輝は初めてこの刑事のことを苗字付きで呼んだと思う。
この刑事は橋野 慶治(はしの けいじ)。何故今まで名前を呼んでいなかったかというと、
名前がそもそも慶治だったことからそのまま呼んでやろうと思ったことからだ。
「アバターコード!『狂戦士』!お前を…逮捕にしにきたというか消滅しにきたっ!」
何かと戦闘中もよく喋るというのがこの橋野刑事の醍醐味。
「コ…ロ…ス…!オマエラ…!」どうやらイルはお怒りのようだ。
「刑事!まだ引退しなくて大丈夫なんですか?」
「助けられててそんな口よく利けるな!バカ部下!お前はさっさと剣を構えんかっ!」
「よく俺の居場所とかわかりましたね?ギックリ腰刑事!」イルがだんだんと近づいてくる。
「お前の考えとることぐらいわかるっ!それとギックリ腰はぁあ!!」大きく大斧を構える。
「歳をとれば誰にだってなりそうなことだぁああ!!」と、その斧をイルにぶちまける。
かわそうとしたみたいだが予想外の斧の速度の速さに不可能だったようだ。
だが、この程度ではイルはまだ死なない。
「それって確かにそうですけど…!!」優輝が大きく剣を構えて
「刑事みたいに寝転んでてギックリ腰ってそうそういないってぇえええ!!」大きく振り落とした。
*
「バカモンがぁっ!結果倒せたからいいもののお前、死ぬところだったんだぞっ!」
大きな怒声がギンギンと優輝の耳に届く。
「そんな大きく耳元近くでいわなくてもわかってるっつーに…」
「お前はこうしても聞かないだろうがっ!!」また怒声が"天燐"に響く。
こうは言っているがこの二人は武装警察の中でもなかなかのコンビである。
「全く…心配したんだぞっ!ここらへんでイルが出るというから…会議まで抜けてきてだな…」
その言葉に優輝は驚いた表情をした後、フッと笑って
「…ま、借りが一つ出来たぐらいっすね」
「なっ!…お前っ!」
「でも俺、刑事のそういうところ、いいと思いますけどね」
「?何の話だ?」刑事は鈍感だからわかっていない様子。ま、だから憎めないんだけどな…。
そう思ってふと顔を近くの崖の上に向けると
「おい、お前ら何をしている」
聞いたことのあるような声。そしてこの無愛想さ。そして何よりあの美男子子供スタイル。
「白夜っ!!」
そこには白夜と知らないようで知っているような顔をした二人の男女も一緒にいた。