ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 白夜のトワイライト オリキャラ募集中 ( No.56 )
- 日時: 2010/08/23 20:13
- 名前: 遮犬 (ID: hsrPOuX9)
「…お前…誰だ?」白夜が怪訝な顔をして優輝にたずねる。
「一日で俺の顔を忘れるなよっ!」普通一日で昨日会った人間と忘れますかねぇ!?
「…あぁ、武装警察の…刑事もいるのはどういうことだ?」
「ここら辺はイルが多量に発生することを知ってな。任務がてらこのバカ部下を助けたところだ」
「そうか、それはともかく…お前らはここから離れたほうがいい」白夜は冷静に優輝たちを見据える。
「はぃ?どうしてまた…」
「ここはイルの中でも飛びぬけて強いのがいる。お前らの腕では敵わない」
「そんなのやってみないと…!」言いかけたその時、何かがうごめいた。
何か、横をすごい衝撃のようなものが通り抜けていったというほうが正確だった。
「——離れろっ!バカ部下!」橋野刑事が咄嗟に優輝にタックルして避けさせた。
「外したか…?」ちゃんとした人間の声を放ち、人間の形をした異様な存在がそこにはいた。
「どうやらおでましのようだな〜」白夜の横にいた男、秋生が二本の刀を抜く。
「お前らはいい。俺が一人で片付ける」白夜が言い放ちながらそのイルの元へと駆けて行く。
「まてまて!チームワークじゃなかったのかよっ!」続いて秋生も後を追う。
「白夜光はまだ子供なんでしょうかね…」春も後から続いていく。
「今日はご馳走だな。喰える者が…5人もいるみたいじゃないか」
その人間姿のイルはニヤッと不気味な憎しみを込めたような笑顔を放ち、持ち前の鎌を構えた。
「システムの病気ごときが俺の行く道を遮るな」白夜は腕を振り落とす。
その瞬間イルのいた場所から大きな閃光と共に爆発が巻き起こる。
「ッへぇ〜!それが白夜光の力か!なら俺も見せてやるぜっ!…業火刀!」
秋生の持っている刀から緑と黒の混ざった鬼火が刀身に纏わりつく。
その刀を秋生は思い切りよく爆風の中のイル目掛けて斬りつけた。
「どうだぁっ!!白夜光!」
「…俺一人で十分だといったはずだ」
「まあそういうなって!チームなんだから…って」
イルはまだ消滅してはいなかった。笑い声と共に爆風から出てくる。
「そんなものでは死なんわっ!!」白夜に鎌を切りつける。
白夜は左腕に纏わりついた暗黒の光を鎌に向けて抑えている。
「闇は引きずり込むが…また、反発させることも出来る…そのまま衝撃を返してやろう」
「なっ…!!」そのままイルは空中にぶっ飛ぶ。
「まだだ」白夜は光で刀状のものを作り、それを大きく横になぎ払う。
その光の刀は大きくひるがえし、横一線の熱光線となり、イルを半分に熱傷させた。
「ウギャァアアアアアアア!!!!!」イルがものすごい勢いで叫ぶ。
優輝はこの光景を見て、恐ろしく白夜に恐怖を持った。
強いとかそういうことではなく、ただ単に恐ろしい。恐ろしい悪魔のようなものに見えた。
あまりの光景にどうやら秋生や刑事、春もその場で白夜の戦いを見ていた。
「お前ら、俺の戦いをよく見とくんだな」白夜は片方の腕で大きな闇のドームを作り、イルの元へと向かう
「お前の罪を俺が浄化してやろう」イルを闇のドームに入れ込ませ、その中に光を入れる。
それはまるで日蝕のように、白夜のごとく太陽と闇が重なっていくように見えた。
重力が無限にある闇の中は一度入れられるともう逃げられない。その中に太陽並みの光を入れる。
喰らった者は跡形もなく消え去る。恐ろしい技だった。
「なんていう強さだ…白夜光。噂は聞いてたがまさかこれほどまでとはな…」
秋生が苦笑しながら白夜の背中を見つめる。
「次は断罪だ。あいつの情報を入手しにいく」白夜はその場を立ち去ろうとする。
「ま、待てよっ!」その白夜を止めたのは優輝だった。
「俺も同行する!お前が一体何が目的で何のためにこんなことやってるのか自分の目で見つけ出してやる」
「それをしてどうなる」白夜が冷血な目で優輝を見据える。
「お前といたら必ず黒獅子と出会える。そんな気がする」
「何をお前はいって…!「いいだろう」刑事が止めようとしたのを白夜が遮った。
「白夜光!コイツはまだ未熟な…!「本人が言っているんだ。お前が邪魔することではない」
刑事はグッとそれで黙り込んでしまう。白夜のいっていることは正しい。
この世界は狂っている。人を信じるというのはまた別の話。自分の行く道を行けばよいだけ。
「それに…何かと役に立つかもしれんしな」フッ、と微かに笑い、白夜は立ち去っていく。
そんな一連の様子を見て頭をボリボリかきながら秋生は白夜の後姿を見ながら優輝に語りかけた。
「はあ〜…こんなのチームですらないわなぁ〜…ま、よろしくな〜…えーと?」
「日上、日上 優輝。よろしくお願いします。お二人とも」
「あぁ、よろしくな!」「よろしくお願いしますね」
「お、お前ら…!」橋野刑事が何かいいたげだったが途中で言うのをやめてため息をつく。
*
4人が去った後、一人でため息をもう一度ついてから呟いた。
「全くアイツは…よく父親に似てやがる…だが……運命ってのは、本当に残酷だな…」
「なぁ、——よ」