ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 白夜のトワイライト オリキャラ募集中 ( No.57 )
- 日時: 2010/08/26 15:16
- 名前: 遮犬 (ID: hsrPOuX9)
白夜達一行が次に向かったのはワールドコード"街頭"。
酒場やなんでもかんでも店が出揃っているため情報収集にはもってこいの場所。
「ここで人数ごとに分かれて断罪の情報調べをする」白夜が立ち止まり、3人に告げた。
「相手は断罪だぞ?一人で応戦できるのか…?」
「そのためにこれを持て」白夜が三人に手渡したのは一つの丸い物質。
「これを上に放り投げろ。すぐさま俺が向かう」白夜が無表情の顔で三人に告げた。
「……わかったよ。じゃあ別れるか…三人とも、ご達者でな」そういって秋生は去っていった。
「それでは私もいきます」春も続いて人ごみの中を抜けていく。
無言で白夜も次に去ろうとする。
「待てよ、白夜。もしお前が最初に断罪に出会ったらどうするんだよ」
「…俺が一人で片付ける」
「そんな無茶な…!ってオイッ!」白夜は体が小さいためかすぐに見えない範囲へと行ってしまった。
「…白夜……」優輝は一言呟いてその場を去った。
*
(アイツは一体何を背負っているんだ?あの小さい体に…)
優輝は人手のない路地を一人ゆっくりと歩きながら考えた。
白夜の背負っているものは通常のものじゃない。もっと大きなものを抱えている。
「一回ぐらいは信用してくれてもいいだろ…」優輝はボソッと呟きながら石を蹴る。
「…!なんかよく考えたら俺、恋人みたいじゃねぇかっ!やめだやめ!」
とにかく今は黒獅子の行方を知らないといけないために断罪ってやつを——誰かいる?
優輝の目の前にはいつからいたのか美しい着物を着た女性らしき人がいた。
ただ、どこか違うのは雰囲気。可憐な感じがするというのにどういうわけか、重圧だけは抜けない。
「…あの…?」優輝はおそるおそる声をかけてみたが返事がない。
(何か俺は怖い話の実体験的なのを今体感してるんじゃなかろうか?)優輝は汗をかきながらそう思う。
「——君は、罪人は許せないと思うかい?」
「え?」ようやく口を開いたと思うとわけのわからない質問だった。
「罪人は人それぞれだよね。所詮自分に影響のない罪人は自分にとっては罪人ではない」
(何をいってるんだ…?この女性は…?)この言葉の一つ一つに何か嫌な重圧がかかっていく。
「罪人だってね?色々あるんだよ。殺していいっていわれて殺す連中とか、さぁ」
「っ!!」女性が笑顔で優輝の顔を見た時、優輝は初めてこの重圧の意味を知る。
この重圧…殺気だ。
「だからね?僕はそうやって自分達の邪魔する者を殺す政府が大っっっ嫌いなんだよ。分かる?
だからね?殺すの。殺さないといけないの。本当の罪人はあなたたちでしょ?」
「なんで俺が政府の人間だって…!」しまった。つい自分から政府の人間と…。
「やっぱり、君も政府かぁ〜。武装警察だね、多分その若さだと。正義感じゃないよね?君は」
「なっ…俺は別に好きでここにいるわけじゃ…!」
「そうだよねぇ。皆そういうんだよ。ねぇ、君も楽しんでるんだよね?殺しを。
だってそうでしょ?武装警察のやってることなんてただの偽善者にすぎない人殺しだよ?」
「っ!…」罪人を倒すという言い訳をした大儀。だがやってることは人殺しと変わりは無い。
「所詮正義なんてないんだよ…だからいっそ僕が壊してあげるの。だから私は殺す。政府の人間を」
「もしかしてお前が…!?」優輝はひどい重圧の中やっと声を絞り出した。
「私のこと知ってるの?」
「あぁ、多分な。俺の予想だとお前…!」優輝は冷や汗を必死で隠しながら少し笑い、
「アンタがアバターコード、『断罪』だろ?」
するとその女性はクスクスと笑って
「正解だよ。そしてお別れだね」重圧が一気に殺気へと変わった瞬間だった。
第2話(完)